水牛2016.8 ジャワの立ち居振る舞い
高橋悠治氏のサイト「水牛」の2016年6月号に「ジャワの立ち居振る舞い」を書きました。

水牛』 
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ジャワの立ち居振る舞い

時代劇などを見ていると、床に座る社会での立ち居振る舞いというのが気になる。というわけで、今回はジャワの伝統舞踊に見られる立ち居振る舞いについて。ここに書くのは、中部ジャワ(なお、文化的にはジャワ島の中部)、特にスラカルタ(ソロ)の王宮文化を背景に発展した振る舞いなので、同じジャワでも他地域では異なるかもしれない。伝統的な立ち居振る舞いは衣装と密接な関係があるので、最初に伝統衣装の着付について書いておく。ジャワの伝統衣装は男女とも下半身に一枚布のカイン(腰布)を巻くスタイルである。丈は踝(くるぶし)まである。男性は着物のように前身頃が二重になり、かつ下前にタックを取るので、大きく足を開いて座ることができる。一方、女性の方は布を一周半ぴったりと巻き付けるので、太腿をやや拘束された状態になり、普通の歩幅以上に足を開くことができない。

男性カインの巻き方  女性カインの巻き方
左: 男性のカインの巻き方       右:女性のカインの巻き方


舞踊では、男女とも正座としての胡坐(シロsila)と立膝(ジェンケンjengkeng)の2種類の座り方がある。胡坐の場合、男性は大きく足を開いて両足を交叉させず(重ねず)に座る。女性は着付がタイトなので、膝は肩幅にしか開くことができない。そのため、ふくらはぎで脚が交叉するような脚の組み方をする。この胡坐が正座であり、宮廷で家臣が控えて座っている時はこのように座る。立膝については舞踊以外の場面でも使うのかどうか分からない。少なくとも私は見たことがない。男女を問わず宮廷舞踊では、入場してくるとまず胡坐に座り、合掌してから立膝に座り直す。そして、舞踊が終わる時は立った姿勢から立膝に座り、合掌した後に胡坐座りをしてから、退場のために立ち上がる。

sila3.jpg jengkeng3.jpg
左: シロ sila                   右: ジェンケン jengkeng

●座る、立つ

ここから後は女性舞踊についてだけ述べる。立った姿勢から胡坐に座る場合、一般的には足を少し前後させて立ち、そのまま腰を下ろして蹲踞のような姿勢(ただし膝は閉じている)をいったん取り、それから手をついて足を交叉させてから床に腰を下ろす。けれど、私が自分の師匠(ジョコ女史)から習った座り方は違っていて、直立している時に足を先に交叉させ(足の位置は近い)、そのまま腰を下ろして床に座る。逆に胡坐から立つ場合、私の師匠はこの胡坐のまま両足首を引き付け(したがって、膝が上がる)、体重を少し体の前に移動させてお尻を浮かせ、そのまま立ち上がる。実は、ジャワで私の師匠のようなやり方で座ったり立ったりする人を今までに見たことがない。私が知る戦後(1950年~)生まれ以降の人たちは知らないようで、戦前(以前)にあった座り方なのかもしれないと感じている。ただ、ジャワでは見たことがないこの座り方だが、実は日本の時代劇――少なくとも大河ドラマ――では見るのである。ただし、男性だけだが(女性は胡坐座りをしないから)。現在放送中の『真田丸』でも、武士たちはまさに私の師匠のようにひょいと立ったり座ったりするので、それを見るととても懐かしく感じる…。

次に胡坐から立膝に座る場合。立膝座りの場合、立てるのは左膝で、右足は日本の正座のように折る。胡坐の状態から両足首を足の付け根に引き付け、その状態で体重をぐっと前に移動させて両膝を床につける。そして膝に体重を載せた後、交叉していた足をほどいて蹲踞のような姿勢(膝を閉じる)になり、立膝の姿勢になる。足裏が完全に床にくっついているのに、この立てた左膝頭の位置がとても低くて、右膝頭に近い人がいるが、それは足首が非常に柔らかい人だ。立膝から立ち上がる場合は、左足にそのまま重心をかけて立ち上がる。逆に立った姿勢から立膝に座る場合も、右足を少し後ろにひいて、そのまま腰を下ろして立膝の姿勢になる。

●歩く

王宮で王の前で踊る時は、踊り手は奥から登場する時は歩いて出てくるが、上演空間(儀礼空間)に上がる時から腰を落とし、ラク・ドドッ(laku dodok、座り歩きという意味)という歩き方で王の前に進み出る。男女問わず、この歩き方をする。これは王の前にずかずか立って歩いていくことが失礼であるからで、踊り手に限らず、他の宮廷儀礼でも儀礼空間では家臣たちはこのように歩く。この歩き方は日本の各種武術に見られる膝行と基本的に同じである。男性の場合は膝行のように大きく足を開くことができるが、上半身はもっと前傾して頭を下げ、王と視線が合わないようにする。女性の場合は膝が開かない着付なので、まるでうさぎ跳びのような姿勢で、小さい歩幅で前傾しながら前に進む。

歩き方はいわゆるナンバで、日本の伝統芸能や武術と同じである。現在の我々の日常的な歩き方では、腕を振り、体をひねりながら前進する。つまり、右足が前に出る時には左手が前に出ており、左足が前に出る時には右手が前に出る。しかし、ナンバでは腕を振らずに歩き、右足が前に出る時には右手が、左足が前に出る時には左手が前に出る。一般的にそういう説明がされるけれど、つまりは半身ずつ体をつかう歩き方だ。右足を出す時には右半身がついていき、左足を前に出す時には左半身がついていく歩き方である。
7/16 ジャワの伝統文化体験
次のワークショップで講師をしました。

催名: ジャワの伝統文化体験
     ~漢方ジャムゥからガムラン、衣装まで~

日時: 2016年7月16日(土) 14:00 Open 14:30-16:30
     第1部 ジャワの漢方 ジャムウ/講師 杉野好美
    第2部 ガムラン演奏と伝統衣装/講師 富岡三智
                          演奏 Tidak apa-apa
場所: 京都YWCA 
     京都市上京区室町通出水上ル近衛町44 本館ミニホール    
主催: 日本-インドネシア服飾文化協会 (J-ICCA) 
http://jicca-kansai.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-9c75.html


京都ジャムゥとバティック着付

主催者のサイトにもその状況が紹介されていますのでご覧ください。↓
http://jicca-kansai.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-d015.html

演奏者の方々と打ち合わせして、それぞれ様々なスタイルの衣装を着てもらい、その特徴を説明しました。宮廷の王女風、女官風、一般的な正装、田舎風、モダンでおしゃれ風…と。普通、伝統衣装の着付の説明で、今風のおしゃれについて説明する人はいないと思います。あるいはまた、本当の宮廷での着付を知っている人もほとんどいないと思います。衣裳解説と演奏を交互にしつつ、また、『チャピン・グヌン』という、ジャワではものすごくポピュラーな曲をやるときは、冒頭の独唱(ボウォと言います)に合わせて、即興で踊って見ました。実は、チャピンは農夫などが被る笠のことです。それを持って、適当な感じで踊ってみました。その後、ジャワの王宮で2000年に行われた王子の結婚式(私は取材で入りました)での様々な伝統衣装の写真をお見せしました。
以下、主催者様のサイト(上記リンク)より写真を引用しています。

伝統衣装紹介

伝統衣装紹介2
7/8 町田市立博物館にて踊る
以下の機会に踊りました。クローズドの招待イベントでしたので、告知しませんでした。すみません。

『インドネシア ファッション』展 内覧会
日時: 2016年7月8日(金)15:00~15:30
会場: 町田市立博物館(東京都町田市)

https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/museum/kikakutenji.html

◆出演
舞踊: 冨岡三智 
     "ON-YO"(2001年 Dedek Wahyudi作曲委嘱)より一部
詩朗誦: 松田仁美 

テープカットの後、踊る。小展示室から、松田さんのモチョパット詩(Dhandhanggula)の朗誦の先導で、舞いながら大展示室に移る。大展示室に入ったところで"ON-YO"(録音)のクマナの音が詩に被ってくる。詩がしばらくして終わり、クマナの音だけになった後、今度は男性ボーカルのブダヤン(斉唱)が入ってくる。最後は会場の真ん中で合掌して終わり、また松田さんの歌の先導で小展示室の方に退場してゆく、という演出にする。

◆衣装 表と裏より
20160708町田市立博物館  20160708町田市立博物館_衣装後ろ

◆終了後に。中央は展覧会監修の戸津正勝先生、左は松田さん。実は私所蔵のバティックと衣装も展示されており、マネキンに着せる都合上、私は先に衣装をに脱いでしまいました。松田さんは緑のクバヤ(上着)の下に、実は宮廷女官のようにdodot alit(バティック1枚で着付ける)を着ています。終了後、一部のお客様に脱いで見せておりました(笑)。
20160708町田市立博物館で戸津先生と






【告知】7/16 ジャワ伝統衣装の紹介
以下のイベントでジャワ伝統衣装の講師をします。
王宮のクラシックな装いから民間のおしゃれで今風の着付まで、ジャワの伝統衣装のさまざまな着付をご紹介します。その後、スラカルタ王家で2000年に行われた王子の結婚式の写真をお見せしながら、王宮の伝統行事と着付について解説します。


~漢方ジャムゥからガムラン、衣装まで~

関西支部、夏のイベントです!
ジャワの漢方・ジャムウと伝統音楽ガムラン、そして伝統衣装。
それぞれに講師と演奏家の方をお招きして、
ジャムウ、伝統衣装についてのお話や、
ガムランを演奏して頂きます。ジャムウの試飲もあります!
暑いさなかですが、皆様お誘いあわせの上、ぜひお越しください。

この日は祇園祭の宵山。イベント帰りにお祭りを楽しむ、
というのも一興ですよ~!

日時: 2016年7月16日(土) 14:00 Open 14:30-16:30
     第一部 ジャワの漢方・ジャムウ 講師:杉野芳美
     第二部 ガムラン演奏と伝統衣装 
           講師:冨岡三智、演奏:Tidak apa-apa

場所: 京都YWCA 
     京都市上京区室町通出水上ル近衛町44 本館ミニホール    
     Tel. 075-431-0351 Fax.075-431-0352
    
アクセス:  地下鉄烏丸線・丸太町駅下車
       京阪丸太町駅から京都市営バス65・93・202・204号系統で
       烏丸丸太町バス停下車
       地図→ http://kyoto.ywca.or.jp/access/
 
参加費 1000円 (お土産+ジャムウ試飲付き)

定員 30名(定員に達し次第締め切らせて頂きます)
    7月10日(日)までにご予約ください。

主催: 日本-インドネシア服飾文化協会 (J-ICCA) 
http://jicca-kansai.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-9c75.html

お申込み: 主催ブログからメール、
        もしくは、maroco【アットマーク】hotmail.co.jp 担当藤本まで
        もしくは、当ブログまで
6/26 インドネシア語講座
ビジネス実践インドネシア語講座

日時: 2016年6月26日(日)14:30~17:00
会場: レストラン 五條 源兵衛
     奈良県五條市本町2丁目5-17
     http://genbei.info/

アクセス: JR和歌山線五条駅より徒歩15分。無料駐車場あり。

●今月の教材内容
今回はいつもと雰囲気を変えて、日本に観光に来るインドネシア人に使えそうな表現をいろいろ勉強します。

●参加費: 3000円(当日現金でお支払下さい)
     遠方参加者歓迎!そのために低料金実施中。
     教材と菓子準備のため、前日中にメールフォームからご連絡下さい。

●源兵衛特製の茶菓子付 
20160522源兵衛お菓子
 先月のお菓子

源兵衛地図

源兵衛で昼食/夕食をご希望の方は、直接源兵衛にお申し込みください。源兵衛は昼の部が14:30で終わり、夜の部までの間の営業時間外を利用して本講座を行っています。
水牛2016.6ジャワ人の名前と呼び方
高橋悠治氏のサイト「水牛」の2016年6月号に「ジャワ人の名前と呼び方」を書きました。

水牛』 
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ジャワ人の名前と呼び方

今年の大河ドラマ『真田丸』では、当時の風習に従って、実名(正式名)呼びをできるだけ避けて、仮名(けみょう、通称のこと)で呼びかけている。というわけで、今回はジャワでの人の名前について。

ジャワに留学して最初に警察で外国人登録をしたときに驚いたのが、本名以外に呼び名nama panggilも登録項目に入っていたことだった。ジャワ人には本名とは全然関係のない呼び名の人もいる。私の家の管理人の娘はウィウィという呼び名だったが、本当の名前はアデレードとかそんな感じの名前だった。そのことを、私は結婚式の招待状をもらって初めて知った。また逆に、留学先の大学で、履修要項に載っている教員名が、始めは誰が誰か分からなかったということもある。つまり、普段は誰もその正式な教員名で呼んでいないのだ。教員の中には、ジャワ語で「食べる」という意味の呼び名や擬音語の呼び名など、変な呼び名を持つ人もいた。

その教員名がパスポート名と違う人も中にいた。たとえばある芸大教員は、教員名は洗礼名+個人名の組み合わせだが、パスポート名は個人名+父親の名前の組み合わせだった。ジャワ人には苗字がないので、父親の名前を自分の名前の後につけて名乗ることは普通だが、なぜ教員名(国立大学だったから、公務員番号と対応しているはず)と一致していなくてもよいのか不思議だ。実はインドネシア国民はアイデンティティ・カード(KTP)で身分確認をするのだが、そのKTP名はどうなっていたのだろう...ということも今になって気になる。また、この教員が言うには、パスポート名については出入管理局で名前を自分の名前+父親の名前の2語の組み合わせで登録するように指導されたらしい。名前は2語でというのは、苗字と個人名の組み合わせという国際基準を意識しているのだろうが、パスポート名が名前1語という人も私の知り合いにいる。さらに、この教員はパスポートを切り替える時に、洗礼名+個人名に変更している。パスポート名の付け方に厳格なルールはないのだろうか、本人確認に問題はないのだろうか...と気になってしまう。

ジャワ人は個人名+父親の名前で名乗ると書いたが、女性は結婚すると夫の名前を後ろにつけて名乗る。私の舞踊の師匠の故スリ・スチアティ・ジョコ・スハルジョ女史は、スリ・スチアティが個人名、ジョコ・スハルジョが夫の名前で、ブ・ジョコと一般に呼ばれていた。ブは女性に対する尊称である。その先生が入院したのでお見舞いに行き、病院で看護婦さんに「ブ・ジョコの部屋はどこですか」と聞いたら、「本人の名前は? ブ・ジョコは旦那さんの名前でしょう?」と聞き返されてしまった。そう言われても、私は14年間師事した間に師匠を個人名で呼んだことがなく、また、周囲が個人名で呼ぶのを聞いたこともない。病院では本名だけを使うんだなあと驚いたことを思い出す。

ジャワには2人称の呼称が沢山あり、自分との関係や状況によって使い分ける。大人の女性の場合、一般的なのはイブ(年齢や社会的地位が上の人の場合、ブ・ジョコのブもイブに同じ)かバ(イブほどではなく、より自分と近い場合)だ。私の留学先の芸大の舞踊科はリベラルな雰囲気で、教員たちは生徒にバと呼ばせていたが、より権威主義的な他の芸大ではイブと呼ばせていた。また、イブやバを使わない人たちもいる。私はインドネシアのあるNPO団体の人に、イブやバは社会階層の概念と結びついているので、全員が平等の立場であるべきNPOでは使わないと言われたことがある。彼らの拠点はジャカルタだったのでまだそれが可能なのかもしれないが、ジャワに長くいた私は、名前だけ呼べばよいとする彼らの意見に驚いたものだ。

5/22 インドネシア語講座@五條 源兵衛
ビジネス実践インドネシア語講座

日時: 2016年5月22日(日)14:30~17:00
会場: レストラン 五條 源兵衛 
アクセス: JR五条駅より徒歩10分。無料駐車場あり。

今月の教材内容
① シートレード・クルーズ・アジア2016
② アチェ津波博物館に日本コーナー
③ スリウェダリ劇場のスター、ダルシ女史死去
④ 未定

参加費: 3000円(当日現金でお支払下さい)
     遠方参加者歓迎!そのために低料金実施中。

--教材(解説つき)をプリントでお渡ししますので、出席ご希望の方は前日中までにメールください。インドネシア語が出来る人が教材を予習してきて、その読解を中心に進みますが、初心者でもついてこれる解説付きの教材をこちらで準備します。

--源兵衛特製の茶菓子付 

ちなみに先月の茶菓子(源兵衛製)は以下の通りでした~
ヨモギ葛餅、ひめ人参、金ゴマ
20160424インドネシア語講座

源兵衛地図


源兵衛で昼食/夕食をご希望の方は、直接源兵衛にお申し込みください。源兵衛は昼の部が14:30で終わり、夜の部までの間の営業時間外を利用して本講座を行っています。
水牛2016.5 パレード
高橋悠治氏のサイト「水牛」の2016年5月号に「パレード」を書きました。
ジャワ暦大晦日の王宮の宝物巡回や芸術イベントでのパレードなど、インドネシアのパレードについて書きました。
『水牛』 http://www.suigyu.com/
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パレード

時候もよくなったせいか、いろんなお祭りのパレード情報が目に入る…というわけで、今回はジャワのパレードを紹介。パレードを指すインドネシア語にはキラブkirab、アラッ・アラカンarak-arakan、パウェpawaiがあり、王宮行事ではキラブと呼ぶことが多い。また、外来語ではパラッドparade(パレード)やカルナファルkarnaval(カーニバル)などがあり、これは文化イベントのタイトルで使われることが多い。

●大晦日のキラブ

ジャワのソロ(正式にはスラカルタ)では、ジャワ暦大晦日に王宮の宝物が巡回するキラブがある。日没後、まずマンクヌガラン王家(分家)の方のキラブが始まる。宝物を持った同王家関係者一行が王宮の塀の周囲を確か7周する。その後、夜中の0時頃からスラカルタ王家(本家)の方のキラブが始まる。私はスラカルタ王家の舞踊練習に参加していたので、王家の踊り手として一緒に歩いたことがある。宝物の先頭を歩くのはキヤイ・スラメットという白い牛で、キヤイと名前につくようにこの牛も宝物である。その後ろを剣や槍などを持った家臣団が続き、踊り手も比較的前の方を歩く。その後ろに巡幸参加を希望した団体が延々続く。田舎の年寄が多いが、中には若い人が交じっていることもある。こちらのキラブのルートだが、王宮の北の広場からキャプテン・ムルヤディ通りを南下し、フェテラン通りを西に進み、北上してスリ・ウェダリ公園の所に出てきて、あとはスラマット・.リヤディ通りを東に進んで王宮に戻る。実は牛の歩みによりスピードが変わるのだが、王宮に戻ってくるのはだいたい明け方5時頃になるので、体力的、精神的に自信がないと参加できない。歩く者は皆ジャワの正装で、家臣の人たちは基本的に素足ということなのだが、踊り手たちは草履を履いて良いと言われたので履く。

この行事はソロの観光イベントとしても有名なので、王宮やメイン・ストリートのスラマット・リヤディ通りは大勢の観光客で一杯になる。しかし、それ以外の場所には――時間帯にもよるが――あまり見学客もいなかった。これは、観光客には単なるパレードであろうし、実際に1970年代にスハルト大統領の肝いりで始まった「創られた伝統」なのだが、王宮関係者とっては精神的な意味合いが強い。宝物巡回は、昔は疫病が流行った時などの非常時に民の要請を受けて行われていたという。宝物に宿る霊力によって町を清めるという意味合いがある。このキラブの間、王は直接姿を現さないが、王宮内で瞑想して国の安寧を祈る。また、行列参加者もこの間、口をきくことは禁じられる。

●パラッドとカルナファル

ジャカルタのタマン・ミニ(インドネシア各州の文化を紹介するテーマパーク)では1982年から毎年「パラッド・タリ・ヌサンタラParade Tari Nusantara」と呼ばれるイベントが行われている。タリは舞踊、ヌサンタラはインドネシアの国を指す語で、要は国内各地(州)の舞踊紹介のイベントである。パレードを謳っているが、実際には通りを練り歩くのではなく、順次舞台で舞踊を上演する。スハルトの文化政策の見本みたいなイベントだ。

それに対してカルナファルは非常に新しい単語で、知られるようになったのはここ10年ほどである。ソロでは「カルナファル・バティック・ソロKarnaval Batik Solo」というイベントが2008年以来行われている。一応バティック(ジャワ更紗)をテーマにしているが、リオのカーニバル並みに派手で巨大な衣装を着た人が沢山出てメイン通りを練り歩く。これは当初は芸術イベント関係者が始めたはずだが、バニュワンギでも2011年からカルナファル・エトニック・バニュワンギKarnaval Etnik Banyuwangiが始まっていて、こちらはファッション産業関係が始めたようだ。他にもジャカルタ市がジャック・カルナファルJak Karnavalを2011年頃?に開始している。いずれも、県・市(行政都市)レベルのイベントだ。2011年~2012年に私はインドネシアに住んでいたが、確かにこの頃にカルナファルという語を耳にし始め、ソロのようなカルナファルを真似したいというような話を他の地域でも聞いた。インターネットで見ると、いろいろなカルナファルが行われているようだ。私には、なぜカルナファルのようなド派手なイベントがインドネシアでそんなに受けるのか私にはよく分からないのだが、インドネシアの経済発展中間層が育ってきたのと関連があるのかもしれない。




4/24 ビジネス実践インドネシア語講座
ビジネス実践インドネシア語講座

日時: 2016年4月24日(日)14:30~17:00
会場: レストラン 五條 源兵衛 

20160424インドネシア語講座

今月の教材内容
①、② 「Astindo Fair Jakarta 2016」における和歌山のプロモーションの内容
③ 熊本地震、現時点(4/15朝) でインドネシア人被害者なし
④ オーム真理教、ヨーロッパにネットワーク拡大

今月の茶菓子(源兵衛製)
ヨモギ葛餅、ひめ人参、金ゴマ
コーヒー、ほうじ茶
4/12杉村公園 花見茶会
以下の花見茶会にてジャワ舞踊を踊ります。
茶席には券が必要なので、ご来場希望の方はご連絡下さい。

日時: 2016年4月12日(火)
茶席: 10:00/11:00/12:00/13:00
     茶席の後、別室で踊ります。
場所: 杉村公園(和歌山県橋本市御幸辻786)

公園内の郷土資料館近くに駐車場があります。
車を止めて、資料館からさらに上に行くと茶室があります。