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テアトル・ガラシ公演プログラム
以下、公演プログラムに掲載した内容をここにもアップします。日付や会場、演出、スタッフ、出演者の名前、主催などのデータ類は「7/1公演」のところにそのままアップしていますので、そちらをご覧ください。




リゾームの路上

今日、世界はますますリゾーム(注:中心となる主根がなく、四方八方に伸びていく地下茎の意)化している。リゾームはあらゆるものに忍び寄り、ほとんど瞬間的にからみついてしまう。孤立状態に戻ることはできない。中心であると思われていたものですら同様で、もはや中心としての孤立性を保つことはできない。

しかしこれは同時に、誰もが一人一人、世界全体と孤独に向き合っていることを意味している。それは世界がますますリゾーム化しているからである。誰もが、臨むと望まぬとに関わらず、気がつけばたくさんのものと絡み合っている。それもほぼ一瞬のうちに。これらのたくさんのものに、人は往々にして気づいていない。なぜなら、自分自身もその中でリゾームの一つとなっているから。なぜなら、自分自身も実はリゾームで、自分の中には複数の自己が存在しているから。

それゆえ挑戦というものは、どんな挑戦であっても、もはやひとつの結果を求める挑戦ではあり得ない。人は、自分自身でその挑戦を遂行しなければならない。

ならば国家はどこにいったのか?市民を守ってくれるものではなかったのか?

国家は、たぶん、存在しなくなったわけではない。ただ、少し前から、実質上の権威を失っているだけだ。それは、世界がますますリゾーム化しているからである。あらゆる人、あらゆるものが、国家という枠組みを越えたところで、たくさんのものと絡み合ってしまったからである。

インドネシアの大都市の路上には、このような現実が見てとれる。

そう、この作品はそんなインドネシアの大都市の路上から生まれたものである。この舞台では、日常生活から伸びてきたリゾームが絡み合っている。ここでは、資本にアクセスできる者とそうでない者、グローバリゼーションの恩恵を享受している者と弊害を被っている者との間で、争いや駆け引きが(ときに荒々しく)繰り広げられている。インドネシアのような第三世界の国にありがちな状況である。

「南十字☆路」(原題 Je.ja.l.an/英題 The Streets)はインドネシアの大都市における生活を描いた、ダンスと演劇が融合したパフォーマンスである。

近代的なものと伝統的なもの、コスモポリタンと田舎者、エリートと一般大衆、マジョリティとマイノリティの間で繰り広げられる、争いと駆け引きに満ちた生活。幾つもの物語や同時に起こる行為、オーバーラップする場面、そしてきらびやかな(ときに奇妙かつ滑稽でもある)イメージで塗り固められた生活。

今、この世界が、あなたの前で息づいている。

by ユディ・アフマッド・タジュディン

(静岡芸術劇場公演リーフレットより転載)




「南☆十字路」 上演歴

2008年5月 ジョグジャカルタ州立芸術センター
2008年5月 ジャカルタ芸術大学ルウェス劇場
2009年4月 インドネシア・ダンス・フェスティバル
2010年2月 ジョグジャカルタ州立芸術センター
2010年6月 静岡芸術劇場 「Shizuoka春の芸術祭2010」
2010年7月 アトリエ・エスペース

ユディ・アフマッド・タジュディン

演出家。テアトル・ガラシ創立者の1人で芸術監督。1993年の創立以来、テアトル・ガラシのほとんどの作品を演出。2000年、国際交流基金によるアジア舞台芸術家交流・研修事業として、坂手洋二氏演出の日本・インドネシア共同制作現代演劇「南洋くじら部隊」に参加。2006年、テアトル・ガラシとク・ナウカシアターカンパニーとの共同制作作品「ムネモシュネの贈りもの」を演出。

劇団テアトル・ガラシ

インドネシアのジョグジャカルタ市を拠点に、様々な分野のアーティストが集まり、実験的な現代演劇の創造に取り組む。1993年、ガジャマダ大学・社会政治学部の学生が中心となり設立。芸術監督はユディ・アフマッド・タジュディン。

ガラシはインドネシア語でガレージ、倉庫の意味。設立当初は大学の倉庫を借りて練習していたことにちなむ。しかし、命名の理由はそれだけにとどまらない。1990年代のインドネシアでは、文化的、社会的活動に大仰な名前をつけることを避ける傾向があった。それは、何かにつけ意味づけしたがる一昔前の世代に対して突きつけたアンチテーゼであり、あえて、取るに足りないような名前をつけたのだと、ユディは言う。

テアトル・ガラシは、ダンス、武術などの伝統に学んだ身体表現、現代的でさまざまなイメージを喚起する舞台美術、日常生活の観察などを融合させる取り組みによって、設立以来注目を集めてきた。

また、2001年にはNGO化し、若手演劇人に対するワークショップの開催や出版を通じて、インドネシア演劇界の芸術レベルの向上に積極的に取り組んでいる。

近年はシンガポール公演(2004年)、ベルリン公演(2005年)、東京公演(2006年)など、国際的に活動の場を広げている。日本には4度目の来日となるが、関西公演は今回が初めてである。

http://www.teatergarasi.org/

★古都ジョグジャカルタ

ジャワ島中部にあり、今なお王宮を擁する古都であり、多くの大学が集まる学研都市でもある。京都と姉妹都市提携。伝統舞踊や音楽が盛んなだけでなく、現代美術や西洋音楽が盛んな町としても知られる。

(以上、文責:冨岡三智)
7/2 帰国
7/1夜公演終了後、10:00までに舞台撤収
音響、照明機材の撤収が終わったところで、ひとまず打ち上げ
差し入れのお酒、スウィーツ、佐久間シェフの味噌汁などが並ぶ中で乾杯~☆

小屋主の関川さんはこの日が誕生日だとか。いつの間にか1階では、関川さんとガラシの女優のxさん(名前失念!2人は同年生まれらしい、見かけの年齢が全然違うけど…)の怪しげなフォト・セッションが始まっていて、歓声(叫声)が沸き起こる。これは見なかったことにしておこう~っと、私は2階に戻ったので、その後の成り行きは知らず…。

音響、照明の日本人スタッフが帰ったあと、一行は静岡(SPAC)へ運ぶ舞台道具と手荷物で持ち帰るものを仕分けし、パッキング。一行がインドネシアから送ってきた舞台道具は、輸送会社との契約条件か何かで、行きと帰りの荷物が同じでないといけないらしいのです。

7/2に日付が変わり、夜中の1時頃
銭湯へ。私が銭湯に行ったのがほぼ一番最後。この鈴蘭温泉というお風呂屋さんは、一行のことをとても気にかけてくれていて、最後の日だからと、一行にジュースを差し入れてくれました。ありがとうございます!

ジュースを持って風呂から帰ると、女優陣は寝てましたが、男性陣(1階の舞台スペースで寝ている)は、カード遊び(お金をかけてるので賭博と言うべきか)をやっています。明日の朝は早いので、中途半端に寝ずに、夜通し起きることにしたから、と行ってますが、実はこの光景はこの夜だけに限りません。毎晩、静かになったなと思っていると、男女集まってインドネシア・ルピア紙幣をかけてました。このあたり、まったくジャワ人です。

朝6時に、横須賀さんと、応援の人が静岡行きの荷物を運ぶため、車で出発。一行もそれからほどなく出発。京阪・野江駅から京橋まで出て、そこから関空行きの快速に乗ります。楽器類は昨夜佐久間さんが車に積んで持ち帰り、この日、関空に持ってきてくれました。

teater garasi di KIX
関西空港にて、チェックイン後に。


7/1 公演
7/1 公演当日。忙しすぎて、当日ブログをアップするなんてことはできず。
2日経った今では、どういう状況だったか思い出せず。とりあえずデータのみ掲載することにして、思い出したことは追い追いアップしていきます。

☆☆☆

むりやり堺筋線演劇祭参加
南☆十字路
日時:2010年7月1日(木)15:30 / 19:30開演
会場:アトリエ・エスペース(大阪市城東区成育2-5-4)

☆☆

演出・振付:ユディ・アフマッド・タジュディン
装置デザイン:メラ・ジャアルスマ
音楽:リスキー・サマービー&ハニーシーフ
照明:イグナティウス・スギアルト
舞台監督: ジョハン・ディディ・ハンディヤント
舞台スタッフ:ダルマント・スティヤワン / スマディ / 横須賀智美
字幕翻訳: 舟知恵 / 佐々木信子

出演:テアトル・ガラシ
チトラ・プラティウィ / エルトリナ・バスコロワティ / スリ・カダリヤティン / テオドロス・クリスタント / ベルナデタ・フェリー・ハンダヤニ / ワンギ・インドリヤ / バールル・ウルン

☆☆☆

主催:ジャワ舞踊の会 / エイチエムピー・シアターカンパニー
共催:アトリエ・エスペース
協力:(NPO)大阪現代舞台芸術協会、
   (株)葛城、佐久間新、伊藤サキ、杉田茂
助成:(財)大阪国際交流センター
協賛:ガルーダ・インドネシア航空会社、バンク・ヌガラ・インドネシア46
いよいよ明日
10:00~音響、照明の日本人スタッフも到着して一緒に仕込み。

佐久間さん、Uさんが来て、昼ごはんの準備。
マーボー茄子&豆腐、ポテトサラダなど

12:00 マイクスタンドを借りに京橋駅近くまで車を走らせる。

昼時、明日の受付を手伝ってくれるHMP Theater Companyの高安さん、川内さんが来て打ち合わせ。

夜ごはんのタイ風カレーライスなどを仕込んで、夕方から仕事のある佐久間さんは帰る。

1階では仕込みののち場当たり稽古が続く。

5:00 HMPの笠井さんが来て、明日の受付スタッフとでチラシ折り込み

6:00から食事の予定だが役者の練習が押している。先に我々スタッフと演奏家でとる。あとは手が空いた人たちから三々五々食事。

8:00~10:00ドレスリハ。

最後のミーティングを終えると、近所のスーパー・ライフへお土産を買いに行く者あり、すぐに銭湯に行く者あり…

6/29 日経新聞夕刊に案内掲載
2010年6月29日日本経済新聞(夕刊)11面「舞台がいどガイド」欄に「南☆十字路」公演の案内が掲載されました。



7/28 テアトル・ガラシ来阪
2010年7月28日(月)1:00
一行は昼食後、貸切バスで静岡のSPACを出発。アテンドは横須賀さんにお願いしていて、自宅に戻っていた私は昼からアトリエ・エスペースに向かう。

17:00頃
私の友人にして(株)葛城(御所市)の坂本社長と2人のご友人が2tトラックで布団を運んできてくださいました。私たちはアトリエ・エスペースで泊まり込みなのですが、布団は備え付けではないので、持参しなければなりません。一行19人分の布団をどうしようと思っていたら、(株)葛城の坂本社長夫妻が、お友達に声をかけて、押入に眠っている布団を一気に集めてくれました。しかし、多い…!予定よりたくさん集まったような。社長みずから運んできてくださいました。大感謝!

17:45頃
料理人として依頼した佐久間新さん(本業はジャワ舞踊家です)が来てくれる。本当は彼にも布団をお願いしていたのですが、ごめんなさい、せっかく持ってきていただいたのに、すでに布団が飽和状態でした。

18:02頃
一行が到着しました。予定通りです。ここで、アトリエ・エスペースの支配人・関川さんと佐久間さん、ガラシの面々、横須賀さんを紹介しあいました。

その後、夜ごはんは近所のすき家へ。関川さんに教えてもらったお店に弁当を買いに行って、持ち帰って食べるはずが、皆、すき家に目がくぎづけになったので、予定変更しました。

帰ってくると、hmpシアター・カンパニーの演出家・笠井さんと女優・高安さんが待ち構えてくれていました。実は公演のために自転車をお借りすることになっています。またお米とお麩の差し入れをいただきました。なぜお麩?これは29日夕食の味噌汁の具になりました。ありがとう!

22:00過ぎ
関川さんが主催する別のワークショップが終わるのを待って、お風呂に。男湯の案内を関川さんにお願いしました。鈴蘭温泉という、レトロな名前のお風呂です。前もって一行が来ることを話していたので、男女の脱衣所にはちゃんとチラシを貼ってくださっています。感謝!




6/27 テアトル・ガラシ SPAC公演
劇団テアトル・ガラシ公演「南☆十字路」(原題"Je.ja.l.an")

日時: 2010年6月27日(日)19:30-
主催: 静岡県舞台芸術センター(SPAC)
会場: 静岡芸術劇場 カフェ・シンデレラ

http://www.spac.or.jp/10_spring/cross

このページの一番下に、SPAC発行のパンフレット「劇場文化」掲載のエッセイが読めます。
「インドネシア、埒外の近代都市」中村潔
「『雑踏』」をめぐって――テアトル・ガラシと21世紀東南アジアの想像力」武藤大祐


大阪で公演する前に、ぜひともSPACでの公演を見たくて、また挨拶もこめて、SPACに行ってきました。自宅を昼1時半に出て東静岡駅には6時に着くはずが…寝過して新横浜まで行ってしまい、あわてて引き戻って、なんとか少し遅れで見れました。
この演劇はオープニングのシーンが最大の懸案なので、それをチェックしたかったのですが、実際には遅れて行ったので見れず、で、SPACの方があとでビデオを見せてくださいました。SPACは創業以来初めて、カフェ・シンデレラで上演したそうです。インドネシアでの劇場と、SPACと、大阪と、劇場条件がどんどん変わるので、冒頭の演出はどこも異なりますが、大阪公演の内容は、もちろん、ヒミツです。
カフェ・シンデレラは空間が縦長で、鍵状になっているので、空間全体を一目で見渡すことができず、本当に路上にいるように感じられます。床に座って見るとかなり奥行きが感じられて、私としては面白い空間でした。
会場では、舞踏家の和栗由紀夫氏に会いました。和栗氏とは、実は2000年だったかにインドネシアのソロで出会っています。和栗氏はインドネシアでかなり活動しておられて、インドネシアの舞踊界では有名です。
終わってからSPAC芸術監督の宮城氏、テアトル・ガラシ演出のユディ、通訳として横須賀智美さん(彼女は劇団スタッフとして出演します)によるアフタートークが半時間ほどあって、お開きとなりました。大阪ではどんな質問が出るかなあ、と今から楽しみです。
その後、静岡駅発夜10時のバスで京都まで帰ってきて、そこから近鉄電車の始発でさきほど帰宅しました。

というわけで、7月1日の大阪公演、お待ちしています!
なかなかおもしろくなりそうです。

テアトル・ガラシの来日メンバー紹介 +α
テアトル・ガラシの来日メンバーを紹介します。

1 Ahmad Tajudin (演出家)
2 Bahrul Ulum
3 Bernadeta Verry Handayani
4 Citra Pratiwi
5 Darmanto Setiawan
6 Erwin Subiyantoro
7 Erythrina Baskorowati
8 Ignatius Sugiarto
9 Jamaluddin Latif
10 Johan Didik Handianto
11 Mohammad Rizky Sasono
12 Muhammad Doni Kurniawan
13 Nadya Octaria Hatta Hambali
14 Sri Qadariatin
15 Sumadi
16 Theodorus Christanto
17 Wangi Indriya ←トペン・マドゥーラの舞踊家として有名!

このメンバーに加えて

18 横須賀智美さん(@流山児★事務所)が通訳で来てくれます!

彼女は文化庁の在外研修でインドネシアに行った人で、テアトル・ガラシのメンバー扱いでもあります。そもそも今回私が大阪公演を主催する発端を作ったのが彼女!彼女のブログも見てみてください。

TOMOの日常 http://blog.goo.ne.jp/tomorukagoten

さらに、料理番も紹介します。

私たちはSPAC公演を終えた翌28日夜に大阪に来て、ずっとアトリエ・エスペースに泊まり込みなので、専属お料理番をお願いしました。

19 佐久間新さん (Lintang Sisik主宰)

彼はジョグジャカルタに留学してジョグジャ様式のジャワ舞踊をおさめ、Lintang Sisikを主宰しています。日本で男性のジャワ舞踊家は彼しかいない、はず。ジョグジャに明るく(ついでに奥さんも純ジョグジャ人)、かつ、実は料理が昔から大得意で台人数料理にも慣れているという人なので、適任です。

彼のサイト
ジャワ舞踊教室  http://www.pure.ne.jp/~fueya/lintang_sisik/

20 よろず雑用係の私こと冨岡…

こういうアットホームな公演なので、みなさん、食材を激しく募集しています!豊作で持って行くところがない野菜、根菜はぜひこちらへ~
Youtubeで見る「南☆十字路」
以下に、テアトル・ガラシ自身がyoutubeにアップしている"Je.ja.l.an"(南☆十字路)公演の映像のリンクを掲載しておきます。これはジャカルタ芸術大学(IKJ)のルウェス劇場Teater Luwesで公演したときのものです。ちなみに、私もここでスリンピ公演をしています。よく見れば、観客の中に詩人のグナワン・モハマッドも見えます。顔を知っている人は探してみてください。

その1
http://www.youtube.com/user/TeaterGarasi#p/a/u/2/8iw7stL3I1k

その2
http://www.youtube.com/user/TeaterGarasi#p/a/u/1/50HC4wwxfl0
アジアな空間
ブログ「アジアな空間」でも、テアトル・ガラシの大阪公演を紹介してくださいました。ありがとうございます!この機会にリンクさせていただきました。

アジアな空間  http://d.hatena.ne.jp/adiluhung/