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2021年公演動画 無料公開 『幻視in堺 ― 能舞台に舞うジャワの夢 ―』
公演『幻視 in 堺―能舞台に舞うジャワの夢―』(2021年10月23日、堺能楽会館)の記録映像ができました。諸事情により遅れており、また有料公開を考えてもいましたが、すでに公演から1年以上経ちましたので、youtubeで無料公開します。

(1) 公演全体
  https://www.youtube.com/watch?v=1Q4kTQbxwVE&t=144s


(2)そのうち、舞踊ガンビョンのシーン(振付・舞踊:冨岡)
  https://www.youtube.com/watch?v=AGhHTy-EQqk


(3) そのうち、宮廷舞踊「スリンピ・ロボン」のシーン
  https://www.youtube.com/watch?v=eGp-HCEy7_M
10/23(土)公演 幻視in堺 ― 能舞台に舞うジャワの夢 ― オフ動画
『幻視 in 堺 ~能舞台に舞うジャワの夢~』のスリンピ出演者の1人、Anita Saryさんが作った動画です。在住する高知からはるばる大阪まで来る道中、また公演前後のバックステージの様子が楽しくまとめられています。まじめな公式写真の世界とは別のアナザー世界をお楽しみください。

https://www.youtube.com/watch?v=jprLEd4Mr-E
幻視 in 堺公演 ~舞台写真
公演後、疲れが出てダウンしておりました。その間に公演写真も届きましたので、ここで一部を披露します。
いずれも写真はHirokazu Tamura撮影。無断転載はご遠慮ください。



● 舞踊『ガンビョン』
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●舞踊『ガンビョン』の終了後にのびてくるグヌンガンの影
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●間狂言 2人の風変わりな男が堺の港町をうろうろする…
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●舞踊『スリンピ・ロボン』
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●踊り手は光に吸い込まれるように退場する
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●出演者全員
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●スリンピの踊り手
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●会場:堺能楽会館/Venue: Sakainohgakukaikan, in Osaka, JAPAN
切戸口付近の南蛮屏風、および橋掛り・一の松奥に掛けられた軸『オランダ船』は館主:大澤徳平氏のコレクションです。今回の舞台の趣向に合わせて出してくださいました。
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10/23(土)公演 幻視in堺 ― 能舞台に舞うジャワの夢 ― 終了
2021.10.23 堺能楽会館での公演はお蔭様で無事終了しました。ご来場くださいました方々には厚く御礼申し上げます。公演写真は来月上旬公開の予定です。また、公演動画の有料配信も検討中です。編集に時間がかかりますが、詳細が決まりましたらお知らせします。
ジャワ舞踊の会・冨岡三智

終了の御礼

公演プログラムを以下に掲載します。
1ページ目: クレジット(日本語)
2ページ目: 祝辞(インドネシア語原文、日本語訳)
3ページ目: クレジット(英語)
4ページ目: 解説


ジャワ舞踊&ガムラン音楽公演
幻視in堺 ―能舞台に舞うジャワの夢―


2021年10月23日(土)堺能楽会館 
住所 大阪府堺市堺区大浜北町3丁4-7
公演  ①12:30~ ②16:00~ 料金 一般3000円、小中学生1000円
堺市文化芸術活動応援補助金対象事業(舞台芸術創造発信事業)

■ プログラム
・詩の朗誦 
   朗誦:ナナン・アナント・ウィチャクソノ
・楽曲 「ウィルジュン」
・舞踊 「ガンビョン」
   振付・舞踊:冨岡三智
・間狂言 
   ローフィット・イブラヒム、ナナン・アナント・ウィチャクソノ
--------休憩------------------------------------------
・舞踊「スリンピ・ロボン」 
   舞踊:冨岡三智、岡戸香里、アニタ・サリ、ジェニー・トリアニ

■ 演出
冨岡三智

■ 舞踊
冨岡三智、岡戸香里、アニタ・サリ、ジェニー・トリアニ

■ 演奏
ハナジョス(ローフィット・イブラヒム、佐々木宏実)
ダルマ・ブダヤ(山崎晃男、松田仁美、近藤チャコ、明日香郁子、松竹夏鈴、小島冴月)
岩本象一、西岡美緒、西田有里、ナナン・アナント・ウィチャクソノ

■ スタッフ
舞台監督:羽田美葉
音響・照明:NEXT(櫻井清隆、松尾謙、小松裕規)
映像記録:高山旭
写真記録:Hirokazu Tamura
ちらしデザイン:辻田國雄
クバヤ仕立:村岸紀子
受付:村岸紀子、藤村淳子

■ 特別協力
大澤徳平(堺能楽会館館主)
KP Sulistyo Tirtokusumo

■ 主催
ジャワ舞踊の会(冨岡三智) http://javanesedance.blog69.fc2.com/  


インドネシア共和国教育文化省 元・芸術局長より 祝辞

sambutan sulis

Saya menyambut gembira sekaligus bahagia atas diselenggarakannya pentas seni tari klasik Kraton Surakarta Hadiningrat yang sudah sangat jarang ditampilkan.

Pergelaran ini terasa menjadi istimewa karena 2 (dua) hal, yaitu pertama adalah penarinya dan yang kedua adalah tempatya.

Kolaborasi antara 2 penari Jepang dan 2 penari asal Indonesia yang berbeda latar belakang budayanya menumbuhkan saling pengertian bahwa berbekal penguasaan tari secara benar bisa menepis perbedaan - perbedaan yang mungkin timbul dalam menjalani prosesnya. Dengan demikian dapat tercapai menyatunya rasa yang menjadi spirit dari tari Serimpi yang juga menuntut persamaan tafsir wiraga, serta wirama dari 4 penarinya.

Selanjutnya dengan menari di suatu tempat yang mengharuskan para penari mengenakan kaus kaki, merupakan tantangan tersendiri bagi penari untuk menyesuaikan dan menyiasatinya.

Lepas dari kesulitan dan hambatan dalam proses latihannya, saya percaya bahwa pergelaran Tari Serimpi Lobong ini akan sukses dan diapresiasi dengan baik oleh penonton.

Semoga kegiatan ini akan bisa menjadi motivasi bagi para generasi muda kedua bangsa untuk senantiasa meningkatkan hubungan antar negara melalui jalur pelestarian seni budaya.

Akhir kata saya mengucapkan selamat kepada Michi Tomioka San dan seluruh penari, pemusik dan semua pihak yang terlibat dalam acara ini dan semoga sukses selalu.
Terimakasih...

R a h a y u

Jakarta, 28 September 2021

ttd
Kanjeng Pangeran Sulistyo Tirtokusumo
mantan Direktur Kesenian (2009-2013)
Kementerian Pendidikan dan Kebudayaan RI

----------------------------------------

いまや上演されることことが極めて少なくなったスラカルタ・ハディニングラット王家の古典舞踊芸術の公演開催に当たり、嬉しく光栄なこととお慶び申し上げます。

この公演は次の2点、すなわち第一に踊り手、第二に場の理由から特別なものであると感じます。

文化背景の異なる2人の日本人の踊り手と2人のインドネシア出身の踊り手が共演することで、舞踊を正しく修得すれば、その過程で生じる違いも埋めることができるのだという理解が相互に育まれることになります。これにより、スリンピの精神であるロソ(※舞踊の持つ味わい)の融合が達成されます。このことはまた、ウィロゴ(※舞踊の動き)の解釈が同一であり、ウィロモ(※音楽や振付のテンポ)が揃っていなければならないということでもあります。

さらに、足袋を履かねばならない場所で踊ることは、それに慣れて行うというだけでも踊り手にとって大変なことでしょう。

練習過程における困難や障害を乗り越え、この『スリンピ・ロボン』の公演が成功し観客に喜んでいただけることを私は確信しております。

この活動が両国の若い世代のモチベーションとなり、文化芸術の保護という道を通じて国同士の関係を絶えず深めていくことを願っています。

最後に、冨岡三智さんとすべての踊り手および演奏者の皆さま、そしてこの催しに関わる全ての方々にお祝いを申し上げ、ご成功を祈念します。

 ジャカルタにて、2021年9月28日

    署名
Kanjeng Pangeran スリスティヨ・ティルトクスモ
元・芸術局長 (2009-2013年)
インドネシア共和国教育文化省

※1 ロソ=ウィロソ、ウィロゴ、ウィロモはジャワ宮廷舞踊で重視される3要素
※2 Kanjeng Pangeranはスラカルタ王家から授与される称号



Javanese Dance & Gamelan Music Concert
Illusion in Sakai ― Dance of Nymphs on Noh Stage ―


Saturday, 23 October 2021 at Sakainohgakukaikan
Address: 3-4-7 Ohama Kitamachi, Sakai-ku, Sakai, Osaka, JAPAN
Subsidized by Sakai City Arts and Culture Promotion Program

■ Program
・Chant: 
   Nanang Ananto Wicaksono
・Music “Wilejung”
・Dance “Gambyong”: 
   Michi Tomioka (Choreography & Dance)
・Ai-kyogen:
   Rofit Ibrahim, Nanang Ananto Wicaksono
-----break-----
・Dance “Srimpi Lobong”(long version): 
   Michi Tomioka, Kaori Okado, Anita Sary, Jeny Triani

■ Art Director
TOMIOKA Michi

■ Dancers
TOMIOKA Michi, OKADO Kaori, Anita Sary, Jeny Triani

■ Musicians
Hanajoss (Rofit Ibrahim, SASAKI Hiromi), Dharma Budaya (YAMASAKI Teruo, MATSUDA Hitomi, KONDO Chako, ASUKA Itsuko, MATSUTAKE Karin, KOJIMA Satsuki), IWAMOTO Shoichi, NISHIOKA Mio, NISHIDA Yuri, Nanang Ananto Wicaksono

■ Staffs
Stage Director: HANEDA Miha
Sound&Ligting: NEXT (SAKURAI Kiyotaka, MATSUO Ken, KOMATSU Yuki)
Video:TAKAYAMA Akira
Photo:TAMURA Hirokazu
Flyer Design:TSUJITA Kunio
Kebaya (Dance Costume): MURAGISHI Noriko
Reception: MURAGISHI Noriko, FUJIMURA Junko

■ Special Thanks
OSAWA Tokuhei(the owner of SAKAInohgakukaikan)
KP Sulistyo Tirtokusumo

■ Producer
Japan Association of Javanese Dance (TOMIOKA Michi)
http://javanesedance.blog69.fc2.com/


解 説

本公演ではインドネシアのジャワ島中部にある王宮都市:スラカルタの様式の伝統舞踊とガムラン音楽の公演をお届けします。古都スラカルタとその隣りの州にある古都ジョグジャカルタには今なおマタラム王国(16~18c)の流れを汲む王宮があり、それぞれ独自の様式を伝えています。ガムランは青銅製の打楽器を中心としたアンサンブルのことで、ジャワ島やバリ島で発展しました。ジャワのガムランは優雅で、柔らかい音色とゆったりとしたテンポが特徴であり、ジャワ舞踊は水が流れるように舞うのが理想とされています。

■ 詩の朗誦
上演するのはパンクル形式の詩で「災厄よ、去れ」という内容。スラカルタ宮廷詩人ロンゴストラスノ作。『Serat Kidungan Ranggasutrasna』(1929)所収。ジャワでは現在でも詩を朗誦する伝統が息づいており、詩に霊的な力があると考えられている。コロナ禍が早く収束するようにとの祈りを込めて朗誦する。

■ 楽曲「ウィルジュン」
曲名はジャワ語で「つつがなく」という意味で、儀式やコンサートの最初に決まって演奏される。

■ 民間舞踊「ガンビョン」(曲:ガンビルサウィッ)
ガンビョンはスラカルタを代表する民間由来の女性舞踊。昔は白拍子のような踊り子が一人で踊るもので、ガンビョンは昔の有名な踊り子の名前だと言われている。振付は生まれてから死ぬまでの女性の一生を描いているとされ、今回は伝統的な型を踏まえながらその意味を重視した振付で上演。

■ 間狂言(あいきょうげん)
ジャワのワヤン(影絵)人形から抜け出したキャラクターが港町・堺をうろうろし、白拍子の舞や天女の舞を目撃することになる…。能における間狂言の役割を担うシーン。堺能楽会館の館主:大澤徳平氏の家(堺で江戸時代から続く商家)にはかつてワヤンのような人形があったが空襲で焼けてしまった…という話に想を得て構成。狂言の中で出てくる南蛮屏風は大澤氏の所蔵。

■ スラカルタ宮廷舞踊「スリンピ・ロボン」
スリンピはジャワ王宮で発展した4人の女性による舞踊で、息の長い節回しの女性の合唱が特徴である。舞踊の前に入る男性の声はこれから上演する舞踊名を暗示する。スリンピの振付は抽象的で、2度の戦い(内面の葛藤)を経て調和に至る過程が描かれている。宮廷舞踊は上演に1時間前後かかるため、近年は短縮して上演するのが常だが、今回は完全な長さで上演する。『スリンピ・ロボン』はスラカルタの王:パク・ブウォノVIII世により、その即位(1845年)前に創られた作品で、踊り手は手に弓を持って戦う。

■ 出演者
アニタ・サリとジェニー・トリアニは元・スラカルタ王家の踊り手。冨岡三智、岡戸香里、松田仁美はインドネシア国立芸術大学スラカルタ校に学ぶ。ローフィット・イブラヒム、ナナン・アナント・ウィチャクソノ、佐々木宏実、岩本象一、西岡美緒、西田有里はインドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校に学ぶ。ダルマ・ブダヤは関西で最も古いジャワ・ガムラン団体で、1979年に結成され、大阪大学に拠点を置く。
10/23(土)公演用写真 幻視in堺 ― 能舞台に舞うジャワの夢 ―
以下の公演もいよいよ今週末に迫りました。能舞台の上で繰り広げられる夢のような舞台を見に、どうぞ堺までお越しください。 
お申し込みはこちら

『幻視 in 堺 ~能舞台に舞うジャワの夢~』

2021年10月23日(土) 
①開場12:00、開演12:30~14:00
②会場15:30、開演16:00~17:30
堺能楽会館(大阪府堺市)
各公演 一般\3,000、小中学生 \1,000(全席自由)
堺市文化芸術活動応援補助金対象事業
(舞台芸術創造発信事業)


1. 舞踊 『ガンビョン』
白拍子ガンビョンが舞う女の一生
…振付・舞踊: 冨岡三智

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(過去の公演より)

2. 間狂言(あいきょうげん
ジャワの影絵から抜け出した風変わりな二人の男
…ローフィット・イブラヒム&ナナン・アナント・ウィチャクソノ

間狂言
(練習風景より)

3. 宮廷舞踊 『スリンピ・ロボン』(完全版)
松原に天女の舞うスリンピ
舞踊…冨岡三智、岡戸香里、Anita Sary、Jeny Triani

lobonglobong.jpg
(練習風景より)

<出演>ガムラン演奏
ダルマ・ブダヤ(山崎晃男、松田仁美、近藤チャコ、明日香郁子、松竹夏鈴、小島冴月)、
ハナジョス(Rofit Ibrahim、佐々木宏実)、
岩本象一、西岡美緒、西田有里、Nanang Ananto Wicaksono

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(練習風景より)

<出演>舞踊
冨岡三智、岡戸香里、Anita Sary、Jeny Triani
penari srimpi
(それぞれ、過去の公演より)
幻視 in 堺公演 ~インドネシア教育文化省元文化局長より祝辞
10/1 祝辞の日本語訳をアップしました。

幻視in堺_ちらし表 - web2  幻視in堺_ちらし裏 - web

本公演に寄せて、カンジェン・パンゲランの称号を持つスラカルタ王家の元舞踊家で、インドネシア教育文化省の元・文化局長(2009~2013)で、私の舞踊の師でもあるスリスティヨ・ティルトクスモ氏より、『幻視 in 堺 ~能舞台に舞うジャワの夢~』公演に対して祝辞を賜りました。以下、その書面画像、文面、日本語訳を掲載します。

Bapak Kanjeng Pangeran Sulistyo Tirtokusumo, mantan Direktur Kesenian (2009-2013), Kementerian Pendidikan dan Kebudayaan Republik Indonesia sekaligus guru tari saya mengirimkan saya kata sambutan untuk pentas kami yang berjudul "Illusion in Sakai, Dance of Nymphs on Noh Stage, Javanese Dance & Gamelan Music Concert".



sambutan sulis



Saya menyambut gembira sekaligus bahagia atas diselenggarakannya pentas seni tari klasik Kraton Surakarta Hadiningrat yang sudah sangat jarang ditampilkan.

Pergelaran ini terasa menjadi istimewa karena 2 (dua) hal, yaitu pertama adalah penarinya dan yang kedua adalah tempatya.

Kolaborasi antara 2 penari Jepang dan 2 penari asal Indonesia yang berbeda latar belakang budayanya menumbuhkan saling pengertian bahwa berbekal penguasaan tari secara benar bisa menepis perbedaan - perbedaan yang mungkin timbul dalam menjalani prosesnya. Dengan demikian dapat tercapai menyatunya rasa yang menjadi spirit dari tari Serimpi yang juga menuntut persamaan tafsir wiraga, serta wirama dari 4 penarinya.

Selanjutnya dengan menari di suatu tempat yang mengharuskan para penari mengenakan kaus kaki, merupakan tantangan tersendiri bagi penari untuk menyesuaikan dan menyiasatinya.

Lepas dari kesulitan dan hambatan dalam proses latihannya, saya percaya bahwa pergelaran Tari Serimpi Lobong ini akan sukses dan diapresiasi dengan baik oleh penonton.

Semoga kegiatan ini akan bisa menjadi motivasi bagi para generasi muda kedua bangsa untuk senantiasa meningkatkan hubungan antar negara melalui jalur pelestarian seni budaya.

Akhir kata saya mengucapkan selamat kepada Michi Tomioka San dan seluruh penari, pemusik dan semua pihak yang terlibat dalam acara ini dan semoga sukses selalu.
Terimakasih...

R a h a y u

Jakarta, 28 September 2021

ttd
Kanjeng Pangeran Sulistyo Tirtokusumo
mantan Direktur Kesenian (2009-2013)
Kementerian Pendidikan dan Kebudayaan RI



いまや上演されることことが極めて少なくなったスラカルタ・ハディニングラット王家の古典舞踊芸術の公演開催に当たり、嬉しく光栄なこととお慶び申し上げます。

この公演は次の2点、すなわち第一に踊り手、第二に場の理由から特別なものであると感じます。

文化背景の異なる2人の日本人の踊り手と2人のインドネシア出身の踊り手が共演することで、舞踊を正しく修得すれば、その過程で生じる違いも埋めることができるのだという理解が相互に育まれることになります。これにより、スリンピの精神であるロソ(※舞踊の持つ味わい)の融合が達成されます。このことはまた、ウィロゴ(※舞踊の動き)の解釈が同一であり、ウィロモ(※音楽や振付のテンポ)が揃っていなければならないということでもあります。

さらに、足袋を履かねばならない場所で踊ることは、それに慣れて行うというだけでも踊り手にとって大変なことでしょう。

練習過程における困難や障害を乗り越え、この『スリンピ・ロボン』の公演が成功し観客に喜んでいただけることを私は確信しております。

この活動が両国の若い世代のモチベーションとなり、文化芸術の保護という道を通じて国同士の関係を絶えず深めていくことを願っています。

最後に、冨岡三智さんとすべての踊り手および演奏者の皆さま、そしてこの催しに関わる全ての方々にお祝いを申し上げ、ご成功を祈念します。

 ジャカルタにて、2021年9月28日

    署名
Kanjeng Pangeran スリスティヨ・ティルトクスモ
元・芸術局長 (2009-2013年)
インドネシア共和国教育文化省


※1 ロソ=ウィロソ、ウィロゴ、ウィロモはジャワ宮廷舞踊で重視される3要素
※2 Kanjeng Pangeranはスラカルタ王家から授与される称号

幻視 in 堺公演 ~出演者紹介
出演者の顔写真と担当。写真が届き次第アップしていきます。

幻視in堺_ちらし表 - web2

公演 『幻視 in 堺 ―能舞台に舞うジャワの夢―』
演奏者紹介


出演者はインドネシアに留学/研修渡航してガムラン音楽に本格的に取り組む日本人と、インドネシアで活躍ののち現在は日本に住むインドネシア人です。中核となるのは2009年から10年間、岸城神社(岸和田市)で毎年『観月の夕べ』公演を行ってきたメンバーたち。皆様になじみのある名前も多いかと思います。岸城神社での公演は神社側の理由で2018年で終了しましたが、再び皆様の前で上演できることを楽しみに(コロナ禍の状況次第ではあるのですが…)現在、主にリモートで練習に励んでいます。

<ジャワ舞踊>
Batak: 冨岡三智
インドネシア国立芸術大学スラカルタ校留学
みち

Gulu:  岡戸香里
インドネシア国立芸術大学スラカルタ校留学
Kaori 岡戸香里

Dada:  Anita Sary
スラカルタ王家・元ブドヨ舞踊家
Nunung Sary

Buncit: Jeny Triani
スラカルタ王家・元舞踊家
Jeny Jenny



<ガムラン演奏>
ダルマ・ブダヤ(山崎晃男、松田仁美、近藤チャコ、明日香郁子、松竹夏鈴、小島冴月)、
ハナジョス(Rofit Ibrahim、佐々木宏実)、
岩本象一、西岡美緒、西田有里、Nanang Ananto Wicaksono


ハナジョス
★ローフィット・イブラヒム(ハナジョス) photo: Yuhei Taichi 
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校卒業。
担当: 太鼓。加えて、間狂言での「ジャワの影絵から抜け出た風変わりな二人の男」のうちの1人。
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★佐々木宏実(ハナジョス)
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校留学。
担当: グンデル
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★山崎晃男(ダルマブダヤ、代表)
担当: ルバーブ、手拍子・掛け声
ダルマブダヤ山崎

★松田仁美(ダルマブダヤ)
インドネシア国立芸術大学スラカルタ校留学。
担当: シンデン
松田仁美

★近藤チャコ(ダルマブダヤ)
担当:スレンテム
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★明日香郁子(ダルマブダヤ)
担当: ゲロン
明日香さん

★松竹夏鈴(ダルマブダヤ)
担当: ゲロン
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★小島冴月(ダルマブダヤ)
担当: ゴング、クノン、クトゥ

★岩本象一
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校留学
担当: ボナン、デムン、掛け声
いわもと2

★西岡美緒
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校留学
担当: ガンバン
美緒さん

★西田有里
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校留学。
担当: シンデン、ボナン
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★Nanang Ananto Wicaksono
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校中退。
担当: デムン、ゲロン、手拍子・掛け声。間狂言での「ジャワの影絵から抜け出た風変わりな二人の男」のうちの1人。
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幻視 in 堺公演 ~スリンピ・ロボンの中のピストルシーン
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10/23 『幻視 in 堺』公演で上演する「スリンピ・ロボン」(完全版)では、弓の戦い2回の後、さらに全員がピストルで発砲するシーンもあります。ピストルは実際に手に持たないので抽象的な振付ですが、公演で確かめてみてください。そのことについて書いたエッセイもあります。
  ↓
「ジャワ舞踊とピストル」(『水牛』2013年7月号)
 http://suigyu.com/noyouni/michi_tomioka/post_299.html

上の文をこのブログでも公開しています。どんなピストルを使うのか、写真も添えています。
http://javanesedance.blog69.fc2.com/blog-entry-632.html
幻視 in 堺公演 ~スリンピ・ロボンの中の「リンチャッ・ガガッ」という動き
幻視in堺_ちらし表 - web2 幻視in堺_ちらし裏 - web

第2部で上演する『スリンピ・ロボン』のハイライトの1つと言って良いのがリンチャッ・ガガッ lincak gagakという振付。体を前後に揺らしながらその場でゆっくり回転する。テンポが少し落ちて、掛け声や手拍子がそれまでより煩雑に入り、宮廷舞踊らしい華やかさに包まれる。そこにスポットライトが当たるような感覚。

実はスラカルタ王家のスリンピ10曲のうち7曲(①タメンギト、②ガンビルサウィッ、③ラグドゥンプル、④ルディラマドゥ、⑤サングパティ、⑥グロンドンプリン、⑦ロボン)にこの振付がある。すべての曲において、リンチャッ・ガガッの前の動きはスカル・スウン sekar suwun。これは瞑想的な雰囲気があり、静かに舞台を滑るように動くのだが、そこからリンチャッ・ガガッで一転華やかな場面になり、逆に空間移動がなくなるところが見どころ。また、7曲のうちロボンを含め4曲(④~⑦)ではスカル・スウンの前の振付がオラ・アスト olah astaで、揺れるような手振りが中心の動きである。振付の中で、手の動き➡足の動き、直線空間移動➡その場で回転という風にフォーカスされる部分が変化していく。この3つの連続する動きの流れが心地よい。

※ スラカルタ宮廷舞踊(スリンピ10曲、ブドヨ2曲)の構成に関心がある方は以下の私の論文を読んでみてください。ダウンロードもできます。(ただし英語) ➡https://www.ijih.org/volumes/article/418

映像: スカル・スウン~リンチャッ・ガガッ (音無し)



幻視 in 堺公演 ~スリンピ・ロボン
幻視in堺_ちらし表 - web2 幻視in堺_ちらし裏 - web

今度「スリンピ・ロボン」完全版を上演します。ジャワ宮廷舞踊(スリンピ、ブドヨ)完全版の公演は私はすでに何度もやっているのですが(以下のリンクにそれらの映像がまとまっています)、いずれも演奏はインドネシア国立芸大の教員や学生で、考えたら日本人グループの生演奏で行うのは初めてです!10年続いた『観月の夕べ』公演でもスリンピやブドヨの曲はいつも入れるようにしていたので、割とブダヤン(宮廷舞踊の歌い方)は歌い慣れているメンバーですが、いずれも前半だけをやるとか、半分に短縮して私1人とか2人とかで踊るという形だったので、約40分フルの長さでやるのは初めて。なかなか大変そうですが、順調に仕上がってきています。

過去の私の宮廷舞踊公演の映像リンク集(スリンピではスカルセ、ゴンドクスモ2公演、アングリルムンドゥン、ラグドゥンプル、そしてブドヨではパンクルの映像があります。)
himpunan tautan video tari srimpi & bedhaya saya yg versi lengkap (Srimpi Sukarsih, Srimpi Gondokusumo, Srimpi Anglirmendhung, Srimpi Lagudhempel & Bedhaya Pangkur)
http://javanesedance.blog69.fc2.com/blog-entry-850.html