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第6回アジアアーツマネジメント国際会議 in ジョグジャ
The 6th International Conference of Asian Arts Management
2011年12月12日(月)~13日(火)
インドネシア国立芸術大学ジョグジャカルタ校ISI Yogyakartaにて
主催:大阪市立大学都市研究プラザURP
共催:ISI、ガジャマダ大学UGM


12日(月)アート、コミュニティ活動見学
10:00- Jogja Biennale見学 (Jogja National Museum, Taman Budaya Yogyakarta)
13:00- Nitiprayan Kampung Budaya見学
15:00- Anak Wayang Indonesia活動見学(Kali Code地域)
20:00- Balai Budaya Minomartani見学


13日(火)会議

9:30- 挨拶 Prof.Dr.Djohan,M.Si(ISI)、中川真(URP)

■午前の部
1.上田假奈代(ココルーム)
2.Halim HD
3.中西美穂(House of comfort Art project)
4.Ong Hari Wahyu (Nitiprayan)
5.森真理子(まいづるRB)

■午後の部
1.Timmy Hartadi
2.林朋子(URP)
3.Eko Nuryono
4.岡部太郎(たんぽぽの家)

私もアートマネジメント調査ということで大阪市立大学都市研究プラザからジョグジャカルタに派遣されているので、会議の準備や通訳、特に市内見学の場所選定などでばたばたと働いておりました。それにしても、市内見学の日はあまりに好天に恵まれて二ィプラヤン村を炎天下で歩き廻ることになってしまい(早朝は雨だったのに…)、しかも朝から夜まで欲張った見学予定で、翌日には病人が数名出るというハードな会議でした。
観光、文化関係の省の名称
ちょっと前の情報ですが、私の覚書のために…。2011年10月19日の省庁改組でインドネシアの文化観光関係が次のように変わりました。1998年から、それまで教育文化省の一部だった文化部門が観光の方にくっついていたのが、今回の改組では文化は再度教育の方に戻され、観光は経済とくっつけられることに。

旧) 観光文化省 / Ministry of Culture and Toursism / Kementerian Kebudayaan dan Pariwisata (Kemen Budpar)
新) 観光創造経済省 / Ministry of Tourism and Creative Economy / Kementerian Pariwisata dan Ekonomi Kreatif (kemen Parekraf)

旧) 教育省 / Kementerian Pendidikan Nasional (Kemen Diknas)
教育文化省 / Kementerian Pendidikan dan Kebudayaan (Kemen Dikbud) 

歴代の観光大臣一覧
http://id.wikipedia.org/wiki/Daftar_Menteri_Pariwisata_dan_Ekonomi_Kreatif_Indonesia
歴代の教育大臣一覧
http://id.wikipedia.org/wiki/Daftar_Menteri_Pendidikan_dan_Kebudayaan_Indonesia
11/13 「オペラ・ディポネゴロ」鑑賞←イワン・ファルス出演!
2011年11月13(日)20:00~
TIM=タマン・イスマイル・マルズキ劇場(ジャカルタ)にて

サルドノ・クスモの「オペラ・ディポネゴロ」を友人と見る。チケットは売切。私が買ったのは55万ルピアのチケット。今のレートだと4700円くらいのチケット、日本の基準からしても高い!のだが、こういうチケットが買える層が増えているのが今のジャカルタなのだ。

「オペラ・ジャワ」は、有名なジャワ戦争またはディポネゴロの反乱と呼ばれる事件(1825~1830年)を扱っていて、初演は1995年。私が見るのは1997年末に芸大ソロ校(大学の小劇場のこけら落し公演)、2002年3月頃にソロのRRIラジオ局の劇場に続いて、今回が3度目。

今回は歌手のイワン・ファルスIwan Falsが出演というのが最大の呼び物。そして、今までずっと主演のディポネゴロ役だったファジャールが出演せず、ジャワの音楽家の曲も使われず(イワン・ファルスが歌うから)、サルドノが捕らわれるディポネゴロ(若い時代は別人が演じる)を演じたのだが…、今までとは全然別物の作品だと思った方が良い。舞台の雰囲気を一言で言うならば、「イワン・ファルス歌謡ショー オペラ・ディポネゴロ風演出、サルドノ友情出演」。

舞踊の幕間ごとにジーパンを履いたイワン・ファルスがギターを持って舞台袖で絶唱するのだが、それまでの抽象的な舞踊の世界が、一気にインドネシア語で分かりやすい政治メッセージの絶叫に変わる。

舞台は西洋のオペラ曲の開始とともに始まり、舞台前面に下ろされた紗幕(これは固定されていて、緞帳のように上下しない)に投影されていたディポネゴロ逮捕の絵(原画はサレー作)が照明の加減で消えていくと、紗幕の内側のステージに静止していた人物が動き出すという冒頭シーンの演出の美しさは元のままなのだが…

その直後にイワン・ファルスが1人登場しただけで、気分は19世紀オランダ植民地の世界から、一気に1960年代、反米的フォークソングの時代へと引きずり戻される。舞踊がどこかにすっとんでしまうくらい、彼の存在感は強かった。前日公演を見た知人が、「踊り手がかわいそう~~。舞踊はとってつけただけという感じだった。」と言っていたのだが、本当にそうだった。

ディポネゴロが海辺で瞑想してジャワ王家を守護する女神ラトゥ・キドゥルに出会うというシーンや、ディポネゴロが断食明けに皆と挨拶(ハラル・ビハラル)をしている時に捕らわれるという、元の演出にあって私が大好きだったシーンはなしで、それらのシーンが見たかった私は非常にがっくりくる。どちらもジャワ舞踊のエッセンスが非常に生きているシーンで、かつファジャールのキャラクターなしでは成立しないようなシーン。

そして、ディポネゴロが捕らわれるシーンは、サルドノがオン・ステージという感じで踊りまくっている。きっと彼はイワン・ファルスの歌とコラボレートしたかったんだろうなとは想像つくものの、この唐突さ加減はインド映画(ボリウッド)なみだ。ただ、私はサルドノの舞踊には惹かれるものがあるので、唐突であろうが何だろうが、彼の踊りが見れたのは満足。彼はクスモケソウォという宮廷舞踊家で、私が師事していたジョコ女史(故)の義父に師事していて、ちょっとした動きの端々に、伝統舞踊家であった彼の片鱗が見えるときがあるのだ。

そして、舞台は船の出港する様子に変わる。ディポネゴロ時代にも奴隷としてジャワから売られていく人たちはいて、それは今のTKI(インドネシアから海外への出稼ぎ労働者)の問題に通じるとサルドノは言う。そういうグローバル経済への批判を込めたというのは彼の主張は、イワン・ファルスの歌う歌詞からも明明白白なのだが、ディポネゴロの悲劇という主題はもうすっかり雲散霧消していて、この舞台、「オペラ・ディポネゴロ」と銘打たなくても良かったんではないか…と正直思う。

という感じで、サルドノ批判といえば批判なのだが、しかし、今の若い人で自作をこれだけぶっ壊せる人はあまりいないだろうし、やっぱりサルドノさんは元気だなあ、と思ったのが終わったときの感想。ちなみにこの日は私は非常に体調が悪く、劇場に行く途中でも吐いたくらいなのだが、見ている間にどんどん元気になってしまった。イワン・ファルスの歌が良かったのかも知れない。

~~~余談

また、この公演では、劇場の外でイワン・ファルスTシャツとか、彼のグッズを売る露天がずらりと並んでいて仰天。舞踊公演でグッズ販売の店が出ることはないから、この公演のノリは、やっぱりミュージシャンのコンサートのものだ。

そうそう、ロビーではサルドノの描いた抽象画がずらーっと掛かっていて、値段は応相談。彼は最近絵をよく描いている(奥さんの話では昔からずっと描いていたそうだが)、思いがけず、センスが良くて、感心。セレブに人気があるらしい。