5/22.水 橋本市で講演
次の通り、橋本市国際親善協会(和歌山県)の総会・第2部で講演します。舞踊つき。会員でなくても、一般の方も無料で入場可です。

日時:5月22日(水)18:00- 総会、
          19:10-20:10 講演&舞踊
会場:橋本市教育文化会館3階 第1研修室にて
     橋本市東家1丁目6-27 ⇒ 地図
     JR・南海橋本市より徒歩5分
タイトル:「日本とインドネシアで宮廷舞踊を上演して」
舞踊は…これからどの曲にするか決めますので、当日のお楽しみ!
5/26(日) 第2回インドネシア語講座
第2回
ビジネス実践インドネシア語講座 in 五條 源兵衛


★★毎日新聞奈良版、FMはしもとで紹介されました!


日時:5月26日(土)14:30~16:00
テーマ:祝日と宗教と1年のサイクル(仮) 
会場: レストラン 五條 源兵衛 2階

    JR五条駅から徒歩10分、無料駐車場有
    奈良県五條市本町2丁目5-17(五條新町通り)
    TEL 0747-23-5566
    http://genbei.info/index.html
料金: 1回5,000円(五條 源兵衛 謹製の茶菓子付)
持参するもの: 筆記具


第1回目は「はじめに マレー/インドネシア語について」「挨拶と時間のサイクル」がテーマでした。第2回目は上のようなテーマです。毎回、テーマを設けて、インドネシアの現在の社会文化状況が理解できるような説明を交えて、語学のレッスンをします。毎回テーマを設け、オリジナルプリントをご用意しますので、教材の購入はありません。準備の都合上、ウェブのメールフォームでご予約をお願いいたします。

今回は無理でも今後参加希望の方は私までウェブのメールフォームでご連絡下さい。今後、開催日時とテーマが決まりましたらご連絡させていただきます。

なお、実施日時はレストラン 五條 源兵衛の休業日(火曜)以外の、その営業時間外(14:00-17:00)となりますが、いまのところ、今後は土日の開催となります。講座の前後に昼食や夕食もついでに…という方は、食事の分は五條 源兵衛の方に直接お申し込みください。

会場の五條 源兵衛は…
◆五條市新町通り(旧・紀州街道沿い)の、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にあります。
通りの写真→ http://matinami.o.oo7.jp/kinki3/gojyou.htm
◆レストランは、アレックス・カー氏のプロデュースにより地区250年の古民家を再生した建築で、地元の朝どり野菜の料理をメインにしています。

最寄り駅はJR和歌山線五条駅です。JR王寺・高田方面からの下り電車は14:06五条着、南海/JR橋本からの上り電車は13:30着か、次は14:30着です。車の場合は五條 源兵衛の駐車場をご利用ください。五條 源兵衛のある新町通り(旧紀州街道)は江戸時代のたたずまいを残し、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されています。ここをアジアとの交流、文化発信の拠点にしていきます!

http://nara.utsukushiki-nippon.jp/contents/01/ (五条の映像が見れます)
5/14 FMはしもと再出演
5月14日(火)15:00~16:00

先週の5月7日に続いて、FMはしもと(和歌山県橋本市)の番組、「ウォーターリングス」の後半で出演し、今回はインドネシアの飲み物事情について語りました。内容は以下のような感じです。

お茶、コーヒー、砂糖が植民地時代の栽培植物だった影響で、とくにその産地であるインドネシアの中部ジャワでは、濃くたっぷり淹れたお茶に砂糖をたっぷり入れて飲むのが普通。単に、「お茶」と注文しても、砂糖入りのお茶が出てくる。それがぜいたくなおもてなし。

インドネシアにミルクティーはないけれど、近隣のマレーシアでは、イギリスの植民地だったせいで、お茶はミルクティー(といっても、ミルクでなく練乳)にして、砂糖をたっぷり入れて飲む。マレーシアでも、「抜きのお茶で」と頼んだら、ミルク抜きのコーヒーが出てくるが、それでもやっぱり砂糖は入っているのも、同じことだろう。

インドネシアのコーヒーは、粉を沈殿させて飲むアラビアコーヒーに似ている。これも砂糖入りで飲む。最近は、ティーパックならぬ、「コーヒーパック?」入りのコーヒーも現れている。

…という風にお話しました。

この番組はこの日から新しく始まった、奈良県葛城市にある会社クリクラ御所が1年間提供する番組です。

FMはしもと http://www.816.fm/
クリクラ御所 http://www.crecla-gose.jp/
5/11 イネ語講座終了
昨日のビジネス実践インドネシア語講座は無事終わりました。
今回のテーマとだいたいの内容は次の通りです。

第0回: マレー/インドネシア語(bahasa)とは
・東南アジアで通用する範囲 
・インドネシア語の特徴

第1回: 挨拶と時間のサイクル
・会話例(外で出会って)
・会話例(朝9時の約束に遅刻して)
・1日のサイクル(あるインドネシアのイスラム教徒の会社員の場合)の例


です。通常の語学講座ではなく、自分が発信したり、現在の生きたインドネシアを理解するための言葉のレッスンにしていきたいと思っています。
受講者は、毎日新聞を見て知った人1人、FMはしもとで聞いて知った人1人、そして会場を提供してくださっている五條 源兵衛の料理長です。1人は留学経験者、1人は今まで遠くまでインドネシア語を習いに行っておられたという方、料理長は最近は海外からのお客様もおられるので、そのもてなしの背景となる海外のことも知りたいという動機があり、皆さま非常に熱心だったので、当然のように時間延長してしまいました、1時間も。すみません…。
参加には至りませんでしたが、某市役所からもお問い合わせがあり、関心の高さがうかがえました。

インドネシア語講座第1回 本わらび粉のわらびもち_五條 源兵衛 謹製


お茶つきの会にしましたので、五條 源兵衛謹製の菓子(本わらび粉によるわらび餅)とお茶がまず最初に出されました。本物のわらび粉だけによるわらび餅。一般的に白いイメージが強いわらび餅ですが、それはいろいろつなぎを入れているからだそうです。この黒い本わらび餅は非常に粘りが強いです。つなぎを入れるのは、この粘りを避け、食べやすいようにというのもあるのかもしれません。が、やはり本物は押さえておきたいですね。
そこで、お茶しながらの自己紹介です。思わず、カメラを取り出してしまいました。さらに講座の中頃でコーヒーも出されました。非常に贅沢な時間です。こんな繊細な茶菓子をインドネシア人に食べてもらって、その魅力を伝えたい(インドネシア語で!)…というのが私の希望です。

五條 源兵衛⇒ http://genbei.info/index.html
5/11インドネシア語講座第1回
私が講師を務める
ビジネス実践インドネシア語講座 in 五條 源兵衛 の第1回目の日程が決まりました。

日時:5月11日(土)14:30~16:00

テーマ: はじめに マレー/インドネシア語とは
     第1回 挨拶と時間のサイクル


会場: レストラン 五條 源兵衛 2階
    奈良県五條市本町2丁目5-17(新町通り)
    TEL 0747-23-5566
    http://genbei.info/index.html

料金: 1回5,000円(お茶付)

持参するもの: 筆記具

今後月2回のペースで実施しますが、単発受講も可能です。当面は開催のつど、その次の開催日を決定するという方式でします。毎回テーマを設け、オリジナルプリントをご用意しますので、教材の購入はありません。インドネシア語のレッスンとインドネシアを取り巻く社会・文化・経済事情について講義します。

今回は無理でも今後参加希望の方は私までウェブのメールフォームでご連絡下さい。今後の開催日時とテーマが決まりましたらご連絡させていただきます。

なお、実施日時はレストラン 五條 源兵衛の休業日(火曜)以外の、その営業時間外(14:00-17:00)となりますが、いまのところ、今後は土日の開催となりそうです。昼食や夕食もついでに…という方は、食事の分は五條 源兵衛の方に直接お申し込みください。

最寄り駅はJR和歌山線五条駅です。JR王寺・高田方面からの下り電車は14:06五条着、南海/JR橋本からの上り電車は13:30着か、次は14:30着です。車の場合は五條 源兵衛の駐車場をご利用ください。五條 源兵衛のある新町通り(旧紀州街道)は江戸時代のたたずまいを残し、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されています。ここから、アジアへの文化を発信していきます!

http://nara.utsukushiki-nippon.jp/contents/01/ (五条の映像が見れます)

源兵衛地図
5/10 ASSI総会
5月10日

日本とインドネシアの交流団体・一般社団法人ASSI(Association Suki Suka Indonesia)の総会に出席。
ASSI: http://www.assi.jp/
5/7 FMはしもと出演
5月7日(火)15:00~16:00

FMはしもと(和歌山県橋本市)の番組、「ウォーターリングス」の後半で出演し、インドネシアの水事情について語りました。この番組はこの日から新しく始まった、奈良県葛城市にある会社クリクラ御所が1年間提供する番組です。今後不定期に登場してインドネシアの水に関するいろんなことについて熱く語ることになる予定です。橋本市周辺の皆様、是非ご視聴ください!

FMはしもと http://www.816.fm/
クリクラ御所 http://www.crecla-gose.jp/
5/3 和歌山へ 同志を訪問
5月3日 昼前~夕方

一緒にNGOワヤン・べベルをインドネシアで立ち上げたパサール満月海岸(島根県)の主:あきさんとなつみさんがインドネシアからの帰国の途上に和歌山に寄ったので、会いに行ってきました。彼らはエア・アジアでインドネシアから東京に到着したあと、しばらく東京の知人を訪問して廻り、次いで関空に降り立って和歌山のFuuさんの家にしばらく居候してから、そこに預けてあったマイカーで島根に帰りました(その前に尾道に寄るとのことでしたが)。彼らの和歌山の友人のFuuさんには初めてお目にかかりましたが、なんとパサール満月海岸設立スタッフとのことでした。お昼にfuuさんの手作りりょうりをいただいて、あきさんと今後のことを打ち合わせして帰宅。

パサール満月海岸 http://pasar-moon.com/

NGO Wayang Beber → Facebookにページができています。 
https://www.facebook.com/WayanBeber
水牛5月号 『サストロダルソノ家の~』
音楽家・高橋悠治氏のサイト「水牛」に、今月は以下の文を寄稿しました。
http://www.suigyu.com/


「サストロダルソノ家の人々 ジャワ人家族三代の物語」の世界(1)



ここでは、この小説の内容自体ではなく、その翻訳をめぐって気づいたことを書いておきたい。書評については、次のものが参考になるだろう。
KINOKUNIYA書評空間BOOKLOG
>早瀬晋三
 >『サストロダルソノ家の人々-ジャワ人家族三代の物語』ウマル・カヤム著、後藤乾一/姫本由美子/工藤尚子訳(段々社)
http://booklog.kinokuniya.co.jp/hayase/archives/2013/02/post_284.html

この小説は、オランダ植民地時代末期から日本占領期、独立戦争を経て1965年9月30日事件(スカルノ体制崩壊につながる共産党虐殺事件) に至るまでのインドネシアのジャワ社会において、プリヤイ階級に属するサストロダルソノ家三代の物語を、家族それぞれの視点からつづった物語 である。初版は1992年刊行で、原題は『Para Priyai -sebuah novel(プリヤイたち、一つの小説)』。ガジャマダ大学文学部教授のウマル・カヤム(1932~2002)が、ギアツなど欧米諸国のインドネシア研究 者によって語り継がれてきたプリヤイ解釈に失望して執筆したという。プリヤイ階級というのは、植民地時代にオランダ式教育を受けてホワイトカ ラ―職(役人、教員、軍人階級など)に就いた社会階層のことで、庶民とは異なる独自のライフスタイル、立居振舞、宗教的スタンスなどを持って いた。ほぼ世襲だったが、中には稀に庶民からプリヤイの世界に這い上がることに成功した者もある。ここに描かれる一族の始祖サストロダルソノ も、教育を受ける機会に恵まれて農民の子から小学校教員となり、プリヤイ階級の末端に連なった。つまり、この小説はプリヤイになり、プリヤイ であろうとする家族の物語なのだ。

翻訳題については、私は大正解という気がする。プリヤイという語は研究者以外には知られていないから、原題で読者にアピールできるとは思えな いし、言い替え可能な適当な用語もない。サストロダルソノという名前はこの人物が小学校教員になった時、つまり晴れてプリヤイに上昇した時に 命名されたもので、サストロは文学とか書くとかいう意味(ただし本書には文学という意味は挙げられていない)。ジャワ人なら一発でこの人はプ リヤイだと分かる名前だし、ジャワ人でなくても、この大層な名前を見れば、なんだか上流の人らしいことは分かる。また、三代と言う語も、徳川 三代とか足利三代というフレーズに慣れ、歴史もの好きの日本人にはなじみやすい。

この小説の共訳者の1人や解説者は世界を代表するインドネシア研究者なので、小説の歴史背景と状況が分かりやすく解説されている。文の日本語 も自然で、訳注がないのも読みやすい。しかし、文化的な事柄に関する翻訳箇所については、ぎごちなさがあったり、物足りなく感じられるところ もある。たとえば、一家がよく飲むウェダンチャムゥ(p12など)はどんな材料の飲み物なのだろう? 訳注で少し説明をつけてくれたら、ジャ ワ人の暮らしがもう少し具体的に見えてくるのに…と思っていたら、p.274にもなって、本文中に「ウェダンチャムゥ(ココナッツ入りのしょ うが黒砂糖の温かい飲み物)」という記述が出てきた。初出のところできちんと訳注をつけてくれていたら、もっと読みやすくなるのに。また、「お母さんの(死後)三日目の共食儀礼(ここにスラマタンとルビが振ってある)」と訳された部分(p45)は、共食儀礼ではなくて「法要」と か「供養」と訳すべきだ。スラマタンselamatanというのは、無事selamatであるように祈るための儀礼一般を指し、この文章では 明らかに死後の法要のことを指している。スラマタンは研究書では共食儀礼と訳され、確かに社会機能的には間違いだとは言えないにしても、共に 食べることが第一目的ではないから、文学作品の訳語としては適当でない。

文体の統一をしたと解説にあるわりには発音の表記がばらばらで間違いもある。特に、影絵人形芝居ワヤンの登場人物の名前がひどい。ある者は ジャワ語読みされ(スンボドゥロ、p130など)、ある者はインドネシア語読み(ユディスティラ、p126など)されているが、どちらかに統 一した方が良い。ここはジャワ人家族の物語だからジャワ語読みするのが良いと思うが、インドネシアでは、ジャワ人読者以外は皆インドネシア語 風に読むだろうから、この点は訳者にとって悩ましいと思うけれど。さらに、同一人物、一族を指しているのに、アルジュナサスラバフ(p68、 インドネシア語読み)とアルジュノ・ソスロバウ(p277、ジャワ語読み)、プンドウォ(p126)とパンドウォ(p280)、クラワ (p126)とコーラウォ(p280)のように表記が全然違うのは非常に気になる。ついでに発音間違いも挙げておこう。「おばさん mbakyu」は「ンバキュ」(p.71)ではない。kは発音しないから、ンバッ・ユになる。ちなみにンバッ・ユはジャワ語で、普通はンバッ mbakになることが多い。天界のガムラン音楽の発音はロカナント(p318)ではなく、ロカナンタ(インドネシア語読み)あるいは、ロコノ ント(ジャワ語読み)となる。

重箱の隅をつついていると思われるかもしれないが、この小説ではプリヤイ階級、つまり上流階級に属する文化を持つジャワ人が描かれているの で、訳出された語や発音に違和感があると、なんだか別の階級、別の民族(非ジャワ人)の話を読んでいる気になってしまう。

ところで、私は原作の小説をまだ持っていないが、インドネシア人のブログでこの本の感想やらあらすじを書いているものがいくつもあったので、 読んでいて気づいたことがある。それはサストロダルソノ氏の呼び方で翻訳では先生となっている部分が、原文では「ドロ・グルNdoro Guru」であるらしいこと(全部の箇所ではないかもしれないが)。ドロはプリヤイを指す言葉でグルが先生と言う意味だが、ジャワでドロと言う言葉には独 特の重みと格差意識が付随する。「あの方はドロだから…」と言うと、もう文句も言えないという感じだ。「ドロ・グル」は単に先生というより 「先生さま」というぐらいの感じだ。ちなみに、インドネシアの人たちは先生を呼ぶのに、男性の先生には「バパッ・グル」、女性の先生には「イ ブ・グル」と言う。バパッは男性への尊称、イブは女性への尊称だ。おそらく明治頃の日本であれば、「先生」という呼称にはドロ・グルに匹敵す るような特別意識があったのかもしれないが、現在の日本人が「先生」という訳にドロ・グルというニュアンスを感じ取るのは難しい。訳者も困っ ただろうなと思う。

それから、おじいさまという訳が原文では「イェヤン・カクンEyang Kakung」らしい。ジャワ語でイェヤンは祖父あるいは祖母を指し、カクンは男性を言うので、併せておじい様という意味になるが、確かにプリヤイ階級の 人たちは祖父のことを「イェヤン・カクン」と言う。ジャワでは、そのことを当たり前のように耳にしていたのに、この小説を読んでいるときには 思い出さなかった。訳文で爺さんとあるのは原文ではmbahのようで、ジャワ語。上でも書いたが、ンバ・ユもジャワ語。庶民の女性/おばさん はmbokのようで、これもジャワ語。こうしてみると、というか自分のジャワでの体験も思い起こせば言うまでもないことなのだが、他人に呼び 掛けるときの語は、ジャワ人ならやっぱりジャワ語を使う。私はジャワではンバッと呼ばれるが、ジャカルタなどの非ジャワ人には当然そう呼ばれ ない。逆に、私はジャワでは他人に呼び掛けるときにはンバッとかマスmas(男性に対して)を使っていて、名前を知らなくても呼び掛けられる ので便利だったのだが、ジャカルタではそういう言い方はしないから、名前を直接呼ぶとよいと言われて困ってしまったことがある(人の名前を覚 えていなかったもので…)。ジャワ人はそれほど人を名前で呼ばないし、呼称で身分や年齢差、つまり自分との距離感を表現する。

と、ここまで書いて、この翻訳された小説に漠然と抱いていた違和感みたいなものが何か分かった気がする。その違和感とは、翻訳者がわりとリベ ラルに人間関係を眺めているところから生じる空気感なのだ。登場人物のセリフに関しては、庶民とプリヤイ、あるいは世代間の言葉遣いの差はう まく訳し出されていると思うし、呼称でも、「爺さん」の原語はmbahだろうと分かるものはあるけれど、「先生」が「ドロ・グル」で「おじい さま」は「イェヤン」だとは、訳文からは推測できなかった。(もっとも、原文でもこれらがどの程度の割合で使われているのか不明だが。)で も、こういう呼称が作り出す人間関係こそがジャワの階級社会を維持しているのだと、訳文にならなかった部分から感じとれる。もっとも、呼称を 忠実に訳したら、こんどはそれが誰を指すのか、登場人物の相関関係が分かりづらくなってしまうだろう。

同様のことは名前の表記にも見られる。サストロダルソノの娘スミニの夫は、訳文ではほとんどハルジョノさんと呼ばれているが、いくつかのブロ グのあらすじではラデン・ハルジョノとされている。確かめてみたら、訳文で少なくとも1か所はそうなっていた。ラデンは貴族階級の生まれの人 につけるから、彼の家はサストロダルソノ家より格上だろう。そして、スミニに結婚を申し込むときには、彼はラデン・ハルジョノ・チョクロクス モと名が加えたとあった。ジャワ人は大人になったり、結婚したり、地位が上がったりすると、その立場に応じた重さの名前へと改名することがよ くある。そういうことも訳注で説明してくれたらよいのに…。それはともかくとしても、原文では、どの程度まで「ハルジョノさん」という気安い 呼び方をされているのだろう。

私は、この本の最初につけられた「サストロダルソノ家の家系図」に、人物の本名ではなく、くだけた呼び名しか載っていないのが不満である。ラ デン・ハルジョノもハルジョノとしか書かれていないし、ススとこの家系図に載っている人はスサンティが本当の名前だ。訳文中にスサンティと書 いてある部分もあったが、全体をとしてこの人はススおばさんという風に呼ばれ続けている。けれど、インドネシア人ブロガーの書いたあらすじで は、彼女の名前はスサンティになっている。つまり、インドネシア人(とくにプリヤイ)は、普段はいくら名前を略して呼び合っていても(本名と 全然違う呼び名もある)、「実は何某」という正体があることを意識している。だから、こういう相関図を書くときには正式名と呼び名と両方を書 いた方が親切ではないだろうか。というのは、この相関図を見ても、人物の社会的地位などが名前から判断できないからなのだ。上で、私は「翻訳 者がわりとリベラルに人間関係を眺めているところから生じる空気感」に違和感を感じると書いたが、その空気感がこの表に色濃く漂っている。こ の家系図からは、この小説がプリヤイの話だという事情がよく伝わってこない。

なんだか、翻訳に文句ばかり言っているような文になってしまったが、私自身はこの小説が好きで何度も読み直している。そして、周囲にプリヤイ の多い環境で留学生活を送ってきて、上で私が書いたようなことを翻訳者に求めるのは非常に難しいだろうということも実感しつつ、あえて書いて みた。今回は翻訳の入口で立ち止まってしまって、小説の世界にまで入っていけなかったので、来月はこのプリヤイ一家の生活ぶりなど小説の内容 について感想を書いてみたい。