2015年03月16日 (月)
地域の高齢者を対象に、生演奏付でジャワ舞踊のワークショップを行いました。
2015年3月15日(日)13:30~
奈良市冨雄第三小中学校 (2階コミュニティホール)にて
第14回地域交流「家族の集い」プログラム
主催: 奈良帝塚山地区社会福祉協議会
出演: 冨岡三智(ジャワ舞踊)、西田有里(歌、グンデル)
テーマ: 川の流れのように ~ジャワの舞踊と音楽のワークショップ~
西田さんに楽器グンデルを持ってきていただき、生演奏でのワークショップをしました。まず最初に、高齢者にはおなじみの「ブンガワン・ソロ」を合唱、そこから川の流れのようになめらかに動く、ジャワ宮廷舞踊に徐々に挑戦してもらいました。簡単な動きだけですが、いくつかやってみて、グンデル、また私が持ってきたクマナという楽器、歌などを伴奏に、心地よく動けたようです。終了後はケーキタイムでした。
会場は施設一体型小中一貫校で、学校と公共施設が一体となっています。
以下、西田さんのtwitterより(勝手に転載して西田さんごめんなさい)、こんなような感じでした。
「冨岡さんのジャワ舞踊WSを音楽でお手伝いしました。参加者はほぼ60代以上の方で、初めは皆さん恥ずかしそうでしたが、1時間ほどたってそれぞれ自由に動き出した時の感じがとても素敵でした。積極的な人も控えめな人も。グンデルの音が会場をふんわり包む。グンデル持ってってよかった。」
2015年3月15日(日)13:30~
奈良市冨雄第三小中学校 (2階コミュニティホール)にて
第14回地域交流「家族の集い」プログラム
主催: 奈良帝塚山地区社会福祉協議会
出演: 冨岡三智(ジャワ舞踊)、西田有里(歌、グンデル)
テーマ: 川の流れのように ~ジャワの舞踊と音楽のワークショップ~
西田さんに楽器グンデルを持ってきていただき、生演奏でのワークショップをしました。まず最初に、高齢者にはおなじみの「ブンガワン・ソロ」を合唱、そこから川の流れのようになめらかに動く、ジャワ宮廷舞踊に徐々に挑戦してもらいました。簡単な動きだけですが、いくつかやってみて、グンデル、また私が持ってきたクマナという楽器、歌などを伴奏に、心地よく動けたようです。終了後はケーキタイムでした。
会場は施設一体型小中一貫校で、学校と公共施設が一体となっています。
以下、西田さんのtwitterより(勝手に転載して西田さんごめんなさい)、こんなような感じでした。
「冨岡さんのジャワ舞踊WSを音楽でお手伝いしました。参加者はほぼ60代以上の方で、初めは皆さん恥ずかしそうでしたが、1時間ほどたってそれぞれ自由に動き出した時の感じがとても素敵でした。積極的な人も控えめな人も。グンデルの音が会場をふんわり包む。グンデル持ってってよかった。」
2015年03月04日 (水)
高橋悠治氏のサイト「水牛」の2015年3月号に、「ジャワ舞踊作品のバージョン4: 「アダニンガル・ケラスウォロ」」を書きました。中国のお姫様が出てくるジャワ舞踊の話です。
http://www.suigyu.com/
↓
「水牛のように」コーナーに入っています。
※2002年11月号からほぼ毎月寄稿しています。
ジャワ舞踊作品のバージョン4: 「アダニンガル・ケラスウォロ」
2月19日の春節にちなんで、今月は中国の姫が出てくるジャワ舞踊「アダニンガル・ケラスウォロ」を紹介しよう。これは、アミル・ハムザ(イスラム聖人マホメットの叔父)に懸想する中国の姫=アダニンガルが、彼の妻の一人であるジャワの姫=ケラスウォロに戦いを挑み、負けるというメナク物語を題材にしている。メナク物語はペルシャ由来のイスラム布教の物語である。中国の姫が出てくるので、この作品は通称「プトリ・チナ(中国の姫の意)」とも呼ばれる。ここでは、マンクヌガラン王家(スラカルタ王家の分家)、スラカルタ芸術大学、ジョグジャカルタ王家の3バージョンを比較してみたい。
マンクヌガラン王家版は、「スリンピ・ムンチャル」というタイトルで、スリンピ形式(4人で踊るため、中国とジャワの姫が2組出てくる)に仕立てている。中国の姫の上半身の衣装は少し清王朝風(ただし袖はない)、化粧と髪飾りが少し京劇風で、三つ編みを背中に垂らす。下半身に巻いた布、上半身の服、サンプール(腰に巻く布)の色のコントラストが赤×黄×青など、派手だ。またその所作だが、合掌とか所々のシーンで、ペコちゃん人形みたいに首を振る。ジャワの姫のおっとりした動きと対比させているのだろうが、私の目には華人を戯画化しているように見えて、実はあまり好きではない。ジャワの姫は弓、中国の姫はピストルを持って戦う。中国の姫は負け、おいおい泣く。大げさだけれど、少し可愛げも感じられる。

スラカルタ芸術大学版(1970年代初めに伝統復興運動の一環で振付けられた)では、中国の姫は長袖のベルベットの赤の衣装で、襟元が黒。髪型はジャワの花嫁のように黒のパエス(一種の隈取)を施し、ジャスミンの花房を垂らす。中国風だがシックだ。が、所作は大げさで、つっぱったような動きが多い。そして、ジャワの姫との戦いのシーンはかなりスピーディーで激しい。2人は最初は剣を突き合わせて戦うが、お互いの手から剣を叩き落とし、ついに中国の姫はジャワの姫の顔をビンタする…。女の戦いは恐ろしい…と感じさせる振付だ。このあと、ジャワの姫は弓で中国の姫を負かすのだが、中国の姫は倒れているだけで泣かない。

ジョグジャカルタ王家版では、2人の姫はズボンを穿く。中国の姫は頭や長袖の上着にジャラジャラとコインのついたチェーンを巻きつける。バブルの頃に、こういうコインをジャラジャラさせたチェーンベルトが流行ったなあ…とふと思い出すが、中国人=お金をジャラジャラさせているという発想のように見える。それはともかく、ジョグジャカルタ版の特徴は、姫2人の動きが木偶人形振りであること。そのため、戦いに押し合うような動きが出てくる。中国の姫はいつも手の人差し指と中指を立てているので、中国拳法のような動きにも見える。この中国の姫は腰に鉄球みたいな武器をぶら下げていて、これをぶんぶん振り回す。ジャワの姫が勝利すると巨鳥ガルーダが舞台に出てきて、ジャワの姫を載せて去っていく。このガルーダは被り物で中に人間が入っており、キッチュな代物だ…。この鳥は2人の女性が取り合う男性を象徴しているとも言う。

これら3バージョンを見ると、ジャワ人が抱いていた中国の姫のイメージは、京劇、中国拳法、お金、派手な色、激しい性格…というところだ。同時にこれは、欧米人受けしそうなイメージだなとも感じる。おそらく、ジョグジャカルタ王家でもマンクヌガラン王家でも、ショー的な要素の強い舞踊だったのではないだろうか。
写真出典
1枚目と2枚目:Adaninggar Vs Kelaswara (hanya) Karena Cemburu < kompasiana.com
http://sosbud.kompasiana.com/2012/07/26/adaninggar-vs-kelaswara-hanya-karena-cemburu-480888.html
3枚目:Tari GOLEK MENAK < kompas.com
http://kfk.kompas.com/kfk/view/132242
http://www.suigyu.com/
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「水牛のように」コーナーに入っています。
※2002年11月号からほぼ毎月寄稿しています。
ジャワ舞踊作品のバージョン4: 「アダニンガル・ケラスウォロ」
2月19日の春節にちなんで、今月は中国の姫が出てくるジャワ舞踊「アダニンガル・ケラスウォロ」を紹介しよう。これは、アミル・ハムザ(イスラム聖人マホメットの叔父)に懸想する中国の姫=アダニンガルが、彼の妻の一人であるジャワの姫=ケラスウォロに戦いを挑み、負けるというメナク物語を題材にしている。メナク物語はペルシャ由来のイスラム布教の物語である。中国の姫が出てくるので、この作品は通称「プトリ・チナ(中国の姫の意)」とも呼ばれる。ここでは、マンクヌガラン王家(スラカルタ王家の分家)、スラカルタ芸術大学、ジョグジャカルタ王家の3バージョンを比較してみたい。
マンクヌガラン王家版は、「スリンピ・ムンチャル」というタイトルで、スリンピ形式(4人で踊るため、中国とジャワの姫が2組出てくる)に仕立てている。中国の姫の上半身の衣装は少し清王朝風(ただし袖はない)、化粧と髪飾りが少し京劇風で、三つ編みを背中に垂らす。下半身に巻いた布、上半身の服、サンプール(腰に巻く布)の色のコントラストが赤×黄×青など、派手だ。またその所作だが、合掌とか所々のシーンで、ペコちゃん人形みたいに首を振る。ジャワの姫のおっとりした動きと対比させているのだろうが、私の目には華人を戯画化しているように見えて、実はあまり好きではない。ジャワの姫は弓、中国の姫はピストルを持って戦う。中国の姫は負け、おいおい泣く。大げさだけれど、少し可愛げも感じられる。

スラカルタ芸術大学版(1970年代初めに伝統復興運動の一環で振付けられた)では、中国の姫は長袖のベルベットの赤の衣装で、襟元が黒。髪型はジャワの花嫁のように黒のパエス(一種の隈取)を施し、ジャスミンの花房を垂らす。中国風だがシックだ。が、所作は大げさで、つっぱったような動きが多い。そして、ジャワの姫との戦いのシーンはかなりスピーディーで激しい。2人は最初は剣を突き合わせて戦うが、お互いの手から剣を叩き落とし、ついに中国の姫はジャワの姫の顔をビンタする…。女の戦いは恐ろしい…と感じさせる振付だ。このあと、ジャワの姫は弓で中国の姫を負かすのだが、中国の姫は倒れているだけで泣かない。

ジョグジャカルタ王家版では、2人の姫はズボンを穿く。中国の姫は頭や長袖の上着にジャラジャラとコインのついたチェーンを巻きつける。バブルの頃に、こういうコインをジャラジャラさせたチェーンベルトが流行ったなあ…とふと思い出すが、中国人=お金をジャラジャラさせているという発想のように見える。それはともかく、ジョグジャカルタ版の特徴は、姫2人の動きが木偶人形振りであること。そのため、戦いに押し合うような動きが出てくる。中国の姫はいつも手の人差し指と中指を立てているので、中国拳法のような動きにも見える。この中国の姫は腰に鉄球みたいな武器をぶら下げていて、これをぶんぶん振り回す。ジャワの姫が勝利すると巨鳥ガルーダが舞台に出てきて、ジャワの姫を載せて去っていく。このガルーダは被り物で中に人間が入っており、キッチュな代物だ…。この鳥は2人の女性が取り合う男性を象徴しているとも言う。

これら3バージョンを見ると、ジャワ人が抱いていた中国の姫のイメージは、京劇、中国拳法、お金、派手な色、激しい性格…というところだ。同時にこれは、欧米人受けしそうなイメージだなとも感じる。おそらく、ジョグジャカルタ王家でもマンクヌガラン王家でも、ショー的な要素の強い舞踊だったのではないだろうか。
写真出典
1枚目と2枚目:Adaninggar Vs Kelaswara (hanya) Karena Cemburu < kompasiana.com
http://sosbud.kompasiana.com/2012/07/26/adaninggar-vs-kelaswara-hanya-karena-cemburu-480888.html
3枚目:Tari GOLEK MENAK < kompas.com
http://kfk.kompas.com/kfk/view/132242
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