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クマナ
歌舞伎のマハーバーラタの効果音でクマナが使われていたと知って驚く。





★2023.3.19加筆
上にある2023年末の配信時には見れなかったのだが、すぐに再配信が決まり、やっと見ることができた。






インドネシアの各種記念日(10/12~12/22)
インドネシアの各種記念日(10/12~12/22)について、ツイッターでは時々紹介してていたので、ここにも記載しておく…

●10月12日

●10月28日

●11月7日

●11月10日

●11月25日

●12月22日
ジャムゥがユネスコ無形文化遺産に
2023年12月6日、インドネシアのジャムゥ jamu がユネスコの無形文化遺産に認定。インドネシアとしては13番目。これまで認定されたものは以下の通り。
ワヤン、クリス (2008)、 バティック (2009), Pendidikan dan Pelatihan Membatik (2009), アンクルン (2010).、サマン舞踊 (2011)、ノーケン (2012)、バリ舞踊の3ジャンル(2015)、ピニシ船 (2017)、 武術プンチャックシラットの伝統 (2019), パントゥン詩 (2020)、ガムラン (2021).

https://www.kompas.com/food/read/2023/12/07/075524775/jamu-resmi-jadi-warisan-budaya-tak-benda-unesco
12/10 ラントヨ(ジャワ舞踊基礎)ワークショップ
2023年12月10日(日)
五條市立中央公民館にて

ジャワ舞踊基礎(ラントヨ)ワークショップ、本日は1名の参加。他の方は体調を崩して参加できず。今回はまず音楽なしで、ラントヨ I に出てくるつなぎや歩きをチェックし、そのあと音楽に合わせて歩きました。今回はルマクソノの選択は本人に任せ、つなぎを私の方で言って、そのタイミングで入れる練習。その後、ラントヨ IIのマングンジャリララス(合掌)とララスをやりました。

blog20231210rantoyo.jpg

2023.12水牛_ワヤン公演『デワルチ(デウォルチ)』
高橋悠治氏のサイト『水牛』(http://suigyu.com/)の
2023年12月」(水牛のように)コーナーに、
ワヤン公演『デワルチ(デウォルチ)』」を寄稿しました。

本記事 https://suigyu.com/2023/12#post-9467
冨岡三智バックナンバー https://suigyu.com/category/noyouni/michi_tomioka



ワヤン公演『デワルチ(デウォルチ)』
冨岡三智

先月、東南アジアのイスラム化に関する国際シンポジウム:”Islamization in Southeast Asia as reflected in literature, archival documents and oral stories” の一環としてジャワのワヤン(影絵)『デウォルチ』の公演があった。というわけで今回はその紹介と簡単な感想。

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『インドネシア・ジャワの影絵芝居ワヤンとガムラン デワルチ』
■日時:2023年11月3日18:30~20:30
■場所:大阪大学箕面キャンパス・大阪外国語大学記念ホール
■出演
 影絵:マギカマメジカ(ナナン・アナント・ウィチャクソノ、西田有里)
 語り:イルボン
 演奏:ダルマ・ブダヤ、Al-aliyin
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『デワルチ』(ジャワ語読みでデウォルチ)はインド伝来の叙事詩『マハーバーラタ』の一節として上演されるが、実はジャワで創られた演目である。ジャワにイスラムを広めたワリ・ソンゴ(イスラム九聖人)はスーフィズムの系統で、布教にワヤン(影絵)や音楽などの芸能を積極的に利用したと言われる。『デワルチ』の物語は18世紀後半のスラカルタ宮廷詩人ヨソディプロI世の創作とされるが、このような土壌から生まれたと言える。
 
『デワルチ』の主人公はビマ(ジャワ語でビモ)である。『マハーバーラタ』は、王位継承に絡むコラワ一族の100王子とその従兄弟のパンダワ一族の5王子の対立を描く。ビマはパンダワの5王子の1人で、剛勇な人物である。ある日、ビモは師の命令で生命の水を求める旅に出る。実は、これはビマを倒そうとするコラワ側の奸計によるもの(ビマの師匠もそれにのせられた)だった。ビモは大海の底で大蛇と戦って死にそうになった時に、自分に似た小さい人物に出会う。それこそ彼自身の内なる神デワルチだった。ビマはデワルチから生命の真理を授けられ、再び師匠の許に戻る。…という物語で、神との合一、マクロ・コスモス(大宇宙、大自然)とミクロ・コスモス(小宇宙、人)の合一、…などのイスラムの教え、ジャワの教えがテーマになっていると言われる。

会場は平土間形式の四角い空間で、真ん中に影絵の幕を張ってその両側に観客席が設けられた。観客は自由に移動して見て良いとのことだった。ダラン(人形遣い兼語り)はジャワ人のナナン氏で、登場人物の会話は彼によって日本語で語られるが、複雑な状況説明は日本人のイルボン氏が講談のようにハリセンを打ちながら語る。ガムラン演奏はダルマブダヤで、そのメンバーの1人が箏も演奏した。ガムランの伝統曲もあるが、そのオリジナル曲、また箏(こと)のオリジナル曲が多い。このチームのワヤン公演を私は昨年2月にも見ているのだが(水牛2022年3月号記事「カルノ・タンディン(カルノの戦い)」を参照)、ジャワのようにシンデン(女性歌手)が華やかに競演するワヤンより、音楽と語り中心のこのスタイルの方が物語のテーマが際立つ気がする。

なお、演奏にはAl-Aliyinという団体(6,7人)も出演して歌を歌った。これは大阪を拠点とするNU(インドネシア最大のイスラム系組織:ナフダトゥル・ウラマー)のショラワタン団体で、日本在住のインドネシア人たちが参加している。ショラワタンはジャワのイスラム歌唱のことで、ルバナという片面太鼓を叩きながら歌う。ルバナはアラブ起源で、マレー系の国々でイスラムの祈りの音楽に使われる。ちなみに、この団体の人によるとNUのショラワタン・グループは現在日本に11あり、この大阪支部は9番目の設立だそうだ。

さて、今回の演出で印象的なのは第一に音楽構成である。ビマがデワルチに出会うまではインストルメンタルな曲できたのが、その後、歌が入ってガラッと雰囲気が変わるのだ。ビマがデワルチに出会う。音楽は箏がアラブ風のメロディを奏でる。ビマはデワルチに「私の耳から私の体内へと入りなさい」と命じられる。その体内に入ると、月と太陽が互いに引き合うように巡る幻想的な大宇宙がスクリーンに広がる。ここで音楽は『ロジョスウォロ Rajaswala』というガムラン伝統曲に変わり、演奏者が一斉にその歌を厳かに歌い出す。この歌い出しを聞いたとき、本当にぞわっと鳥肌が立った。それまでずっと歌がなかったから、人の声にものすごく力が感じられる。しかも、この曲の歌詞は「太陽、月、そして星」で始まり、「大宇宙」も含んで宇宙を構成する要素が歌い込まれているから、この場面と歌詞がぴったり合ってもいる。そのあと音楽はショラワタンになり、たくさんのビマが出て来てくるくると回る。この場面は、ビマが次第に神との一体感を感じていくことを表現しているとのこと。先ほどの月と太陽といい、回る動きにスーフィーの旋回舞踊が連想される。ルバナの音と男性ばかりの歌声には、さきほどの歌とは異なる高揚感がある。そのあとに静かに『イリル・イリル Ilir-Ilir』の歌が流れる。この歌はイスラム九聖人の1人スナン・カリジョゴが作った歌だとされていて、悟りを得て終焉に向かっていくような境地が感じられる。ナナン氏も、ビマの心の声「私はすでに感じることができる。私がどこから来て、どこへ向かうのかを」を表したとのこと。こんな風に、神との合一の境地に至る過程が音楽的段階的に表現されている。

第二に印象的だったのが、ビマがデワルチの体内に入るシーンの視覚表現だ。自分より小さい者の体内へ、しかもその耳の穴を通って入るという、言葉の上ではナンセンスでしかない現象をどのように影絵で表現するのか、全然見当がつかなかった。だが、ナナン氏は影絵というメディアをうまく使った。影絵では人形と光源との距離を調節することによって、スクリーンに映る人形の大きさを変えることができる。だから、ビマの影はどんどん小さくなり、逆に小さいデワルチの体の影はどんどん大きくなって、デワルチの耳穴の位置に小さくなったビマの影が重ねられることで、ビマがデワルチの耳から体内に入ったことが表現された。これは舞踊劇では到底できないやり方だなあと思う。

というわけで、忘れないうちに書き留めておく。

20231103dewaruci

2023.11水牛_ジャワ舞踊のレパートリー(3)自作振付
※ 実は11月にアップし忘れていて、2023.12.10にアップしました。

高橋悠治氏のサイト『水牛』(http://suigyu.com/)の
2023年11月」(水牛のように)コーナーに、
ジャワ舞踊のレパートリー(3)自作振付 」を寄稿しました。

本記事 https://suigyu.com/2023/11#post-9405
冨岡三智バックナンバー https://suigyu.com/category/noyouni/michi_tomioka



ジャワ舞踊のレパートリー(3)自作振付
冨岡三智


先月に続き、今回は自作の紹介。振付は2回目の留学時(2000~2003、インドネシア国立芸術大学スラカルタ校)から始めた。男性優形舞踊を師事していたパマルディ氏に振付も師事している。

●「妙寂 Asmaradana Eling-Eling」
単独舞踊。初演:2001年7月、サンガル・ヌグリ・スケットにて。音楽は故マルトパングラウィット氏(スラカルタ王家の音楽家で、芸術大学でガムラン教育に携わった)の曲「アスモロドノ・エリンエリン」。この作品は亡き妹を描いているのだけれど、クレネンガン(演奏会)でこの曲を聞いた瞬間に舞踊作品にしたいと思いついて、ずっと心の中で温めていた。その時にたまたま録音していたので、のちに録音を舞踊作品で使いたいと主催者に許可をもらいに行ったのだけれど、私が作品について説明する前に、「じゃあ、亡き人をテーマにした舞踊曲を作るのね?」と尋ねられて驚く。聞けば、マルトパングラウィット氏自身が亡き子(確か)をしのんで作った曲らしい。マルトパングラウィットの楽曲集にはそんなことは書いていなかったので、その後、芸大の先生にも再度確認したのだけれど、やはり同じことを言っていた。解説がなくても、曲だけでも思いは伝わるものなのだ…とあらためて音楽の力に驚く。この作品は合掌に始まり合掌に終わるのだが、入退場をどうしようかと考えて、モチョパット(詩の朗詠)でアスモロドノの詩を芸大の女性の先生に歌ってもらい、それに自分で録音した虫の声をかぶせた。



●「陰陽 ON-YO」
ドゥエット。ただし、ドゥエットで踊ったのは初演時だけで、あとは単独で踊っている。初演:2002年12月31日、中部ジャワ州立芸術センター(TBS)にて。音楽は芸大の舞踊スタジオ所属で舞踊音楽を多く手掛けるデデ・ワハユディ氏に委嘱。宇宙が混沌から分離生成し消滅するまでの過程、人の生から死までの過程、神人合一の過程などのイメージを重ね合わせている。冒頭では古事記のイザナギノミコトとイザナミノミコトの国生みのシーンのテキストをモチョパット風に朗詠。このあとガドゥン・ムラティ~アンジャンマスと古典曲とつなぎ、クマナの音が響いてペロッグ音階のブダヤン歌(斉唱)となる。途中で転調してスレンドロ音階になり、かつフル編成ガムランの伴奏になって歌が続く。デデ氏が作曲した曲は歌いやすく、メロディも覚えやすく、音楽の方から動きをのせてくれるような感じだ。伝統舞踊に使われる曲はわりと限られるのだが、それはたぶん、こういう要素を兼ね備えた曲は限られるからだと思う。

私が「陰陽」を初演する数か月前に、デデ氏が音楽を手掛けた舞踊劇の中で「陰陽」の最後に使う曲がペロッグ音階で使われた。また、2003年頃に芸大教員のダルヨ氏が振り付けた舞踊「スリカンディ×ビスモ」(音楽はデデ氏)の中でもその最後の曲が同じスレンドロ音階で使われていた。ダルヨ氏の作品はたぶん私が帰国後に振り付けられたもので、私は長らくその存在を知らなかったのだが、コロナ禍の時にyoutubeで見つけてびっくりした。たぶん、デデ氏にとっても会心の作で、何度も使いたくなる曲なのだろうと思う。



●「すれ合う伝統」/「Water Stone」
ドゥエット。現代舞踊家・藤原理恵子さんとの共同作品。初演:2005年8月、リアウ現代舞踊見本市(インドネシア)にて。音楽は七ツ矢博資氏の1999年の作品で、ピアノとガムラン楽器を使う。初演時は舞踊作品のタイトルを「Water Stone」としたが、楽曲の原題は「すれ合う伝統 ~インドネシアにて思う~」。この作品については2021年8月号の『水牛』で「すれ合う伝統」と題して書いているので、そちらをご覧いただきたい。



●「Nut Karsaning Widhi」
単独舞踊。初演は2011年9月、バンドンの国営ラジオ放送で開催されたブディ・ダヤというジャワ神秘主義実践者たちの集まりにて。音楽は芸大教員のワルヨ・サストロ・スカルノ氏。このイベントで上演するために委嘱した曲で、心の鍛錬がテーマ。何度か上演したけれど、実は振付は決めていないので、毎度踊るたびに考える。ワルヨ氏の専門は歌で、デデ氏とは違うスタンスで作曲してくれることを期待して委嘱。この曲を依頼したのは調査でジョグジャカルタに住んでいる時で、コンセプトは伝えたけれど、録音以前に細かいやり取りはしなかった。しかし、録音の際に旋律やらテンポやらについてその場でさまざまなリクエストをし、それに対してワルヨ氏からも「それなら、これはどうだ?」と、丁々発止のやりとりがあって、ものすごく勉強になったなあと思う。踊る時より録音の方が楽しかった気がする(笑)。