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2008年1月9日のキラブ・プソコ
2008年今年の1月10日(木)はジャワ・ イスラム暦1429年正月ですが、その大晦日には王家でキラブ・プソコKirab Pusakaと呼ばれる行事があります。

王家の家宝=プソコである聖なる武器(槍が多い)が市街を巡回するというものです。プソコの霊力によって町を浄める意味があります。武器の後ろに、宮廷の家臣たちや、さらにその巡回の後に続こうと願い出た村々の人々が続いて歩きます。

マンクヌガラン王家の方が先で、確か夜8時頃から始まります。私が見たときは、プソコは宮廷の外側の壁を1周しか巡らなかったのですが、宮廷家臣らは引き続き廻って計7周するそうです。しかし、後で述べるようなスラカルタ宮廷=クラトンのキラブに比べると、あっさりしています。けれど、キラブが出発するここのプンドポは作りが大きくて開放的で、出発前の儀礼も見れて良いものです。

クラトンの方は夜中の0時に始まります。武器の先頭をKyai Slametという牛が進みます。この日は普段は閉じられているカマンドゥンガンの正面の扉が開き、中で終結していたプソコや人々があふれ出てきます。この扉が開く瞬間には、ものすごくエネルギーを感じます。

行列はそこからまっすぐ北に進み、庭アルン・アルン、郵便局を過ぎて東に曲がり、電話局を通り、次にパサール・クリウォンの交差点から南下していってフェテラン通りに入り、ずっと西へ進み、それから、スラマット・リヤディ通りに向かって北上します。確かパサール・ポンの交差点に出てきたような…。その後はスラマット・リヤディ通りをずっと東に進んで、宮廷に再び戻ってくると明け方5時頃になっています。

なんで詳しくルートを知っているかというと、私も2000年頃にこの行列について歩いたことがあったからです。しかし、牛の歩みに合わせて歩いていくというのはとても大変。何しろこのキヤイ殿(牛)に食べ物を上げると良いことRezekiがあるというので、食べ物を差し出す人が多いのです。

そして、昨年からはジャカルタのタマン・ミニ公園でもこのキラブが行われています。私は12月にジャカルタに行ったとき、政府の信仰局長から「キラブがあるから来てね~」と言われておりましたが、行けてないです。実は、タマンミニでキラブが行われるのはまったく新しいことではないのです。1970年代にスハルトの指示で行われていたのですが、そのうち止めになりました。

実はスラカルタでやっているキラブも、タマンミニと同様、1973年頃にスハルトが宮廷に依頼して始まったものです。宝物巡回という伝統自体はヒンドゥー・ジャワ時代に由来するらしいのですが、現在行われているのは比較的新しい行事なのです。そこには、クラトンの霊的な力によって国家を浄めたいというスハルトの思惑があったと推察されます。一方、クラトンにおいてもこの行事は神聖なもので、この日のキラブに参加する王族、宮廷家臣、村々から来た人々はみな黒色、あるいは暗い色のクバヤ(上着)を着ます。そして行列に加わるものは皆無言です。話してはいけません。そういうクラトンの真摯な取り組みが霊的なパワーを増幅させているのでしょう。