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5/15 "Matah Ati"公演を見る
5.15(日)夜の"Matah Ati"公演を見るためジャカルタへ。

"Matah Ati"
日時: 2011年5月13日(金)~16日(月)20:00~(開場19:00)
会場: Taman Ismail Marzuki, Graha Bhakti Budaya (teater besar)
料金: VIP, klas 1-750,000Rp (1階), Klas 2-500,000Rp(2階), Klas 3-200,000Rp(3階)
初演: 2010年10月22-23日、Esplanade Theatre, Singapore

1 writer/director/producer/costume design: Atilah Soeryadjaya
2 artistic director: Jay Subyakto
3 musical director: Blacius Subono
4 choreographers: Daryono, Nuryanto, Eko Supendi
5 main characters:
  Fajar Satriadi (Raden Mas Said)
  Rambat Yulianingsih (Matah Ati)


なんとこの公演はチケット完売。特に13日と16日が早く売り切れてしまった。これは主催者側でも予期してなかったようで、結局チケットが入手できなくて見れなかった友達も現にいた。芸術関係者でない一般人の金持ち~中堅層の人たちが観客の大半を占めており、そのことに感動。私の隣に座った人たちも、ソロ出身で現在はジャカルタの企業で働いているという20~30代始めの女性の2人連れで、チケットは高いけど、たまには劇場に足を運ぶという人だった。パンフレットは50,000Rpと高い(ソロの劇場の料金より高い!)が、この2人組もパンフを買っている。インドネシアも、中間層の人たちがちょっと背伸びをして劇場に足を運びたくなる、という時代になったんだなあ。

Graha Bhaktiだが、旧の建物の横にガラス張りの新築が建っている。昨年末にオープンしたらしい。しかし、3階席に行くのに、2階までしかエスカレータがなく、そこでエレベータに乗り換えて3階までというのは…。しかも、エレベータでは地階から3階まで通して行けない。なんという中途半端な施設!それに舞台のセリ(これはこの公演のための特注らしい)のセリ上がり方とか開閉の仕方がややチャチで、その辺りがインドネシアなんだよなあ。舞台装置に関しては、昨年見たマレーシアの国立劇場に負けている。けれど、こんなに舞台装置と照明にお金のかかった舞踊の舞台公演はインドネシアで初めて見た。

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演目のマター・アティMatah Atiはマンクヌゴロ王家を創始したラデン・マス・サイド王子の妻の名前で、王家創始に至るまでの闘争と、2人の愛の物語がテーマ。主演の2人を見ても分かるように、これはラングン・ドリアンのように、またはパドネスワラ舞踊団の公演のように、踊り手が歌いながら踊る舞踊歌劇。

プロデュースしたBu AtilahはマンクヌゴロVII世の孫で、大金持ち。アート・ディレクターのJayはビジュアルアーチストで、写真、音楽ビデオ、テレビなどで活動しているらしい。だから、この舞台のビジュアル面は、先端ファッション雑誌に掲載しても遜色ないというものだ。こんなにきれいな舞台写真は見たことがない、というか、現実の舞台よりきれい。

しかし、舞踊公演としては照明は目にまぶしすぎて、舞踊の微妙な動きまで見えない。オープニングでは花火まである。全体的にファッション・ショー感覚の照明。また音響も伝統芸術にはやや不慣れのようで、スカテン楽器も使った壮麗な音楽のシーンはいいとして、グンデルやルバーブの音色が前に出るシーンではちょっと音がきついと感じる。

出演者は、主演、群舞、演奏ともほとんどすべてソロから。ジャカルタからはBu Elly Luthanとかがちょっと出てるくらい。ジャカルタのジャワ舞踊家たちはジョグジャの踊り手、音楽家とほとんど組むことがない。ジョグジャの方が閉鎖的で、コラボレートしにくく、ソロの方がオープンマインドなのだと芸術局長は言う。振付の3人も、音楽ディレクターもソロの芸大の現役教員だ。

演出としては、闘争で多くの兵を失う悲しみや、最後に愛が成就するシーンなどでは、内面の深みの表現が足りてなくて浅い。その代わり、群舞のシーン、舞台にあふれる造型美術は美しい(私の好みではないものもあるが)。これはアート・ディレクターが舞踊出身の人ではなく、ビジュアル重視の人だからだろう。この現状の観客層には受けていたけれど、今後はメインの舞踊のシーンの深みを出すようにしていかないと、観客層は育っていかないかなあ、それが今後の課題だなあと思う。せっかくこれだけの人が芸術に関心を寄せるようになったのだから、その人たちにやっぱりいい舞踊が分かるようになってほしい。

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翌日、朝から昼すぎまで、出演していたBu Ellyに会いに行って、いろいろと公演の感想を話しあう。出演者は皆このTIMの真ん前のホテルに泊まっている。芸術局長からも「夕べの公演はどうだった?」と電話が入って、3人であーだこーだと話す。彼は初日の13日に見に行ったところ、マンクヌガラン王家やソロ王家の関係者がずらり勢揃いして見に来ていて、マンクヌゴロ王家の王弟のヘルワスト王子の長い講釈にすっかりつかまってしまったらしい。

そうこうしているうちにEllyのだんなのDeddy Luthanも来る。彼は今度7月1,2日でジャカルタ芸術劇場=GKJで公演する。私はこの夫婦に2003年以来師事していて、ジャカルタに来ると必ず訪問し、練習を見せてもらったりディスカッションしたりする。また7月に公演を見に来なくては。