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水牛10月号
2013年10月号の『水牛』には以下の文章を寄稿しました。
http://www.suigyu.com/
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体調を崩したら…

今月、体も胃腸も疲れてしまって、なかなか元気になれない。ふと、昨年の国際学会で知り合ったフィリピン人研究者のことを思い出す。彼は伝統医療について研究しているとかで、しんどくなったら西洋医学の薬を飲む以外にどういう行動をとるかと、インタビューされたのだ。そこで、「寝る、食事を抜く、鍼やマッサージに行く」と答えたら、珍しい答えだと驚かれた。標準的な回答がどういうものかよく分からないのだが、インドネシアにいた時にどうしていたのか、唐突に思い出してみたくなった。

●湯たんぽ
以前、インドネシアで過労により腎炎になったことがあり、それ以来、疲れると腎臓が疲れる。そういう時はゆでたコンニャクを腎臓の裏(背中)に当てると良いというアドバイスをもらったことがあるのだが、コンニャクを調達するのがめんどくさい。まして、インドネシアならすぐには手に入らない。というわけで、湯たんぽに代える。といっても、湯たんぽはペットボトルにお湯を詰めたもの。東北大震災のときに、そういう風にして被災者に湯たんぽ支援をしている団体のニュースを見て、これならインドネシアでもできるなと思ったのだ。熱帯の国だと思って油断しがちだが、インドネシアでは意外にも夜は涼しく、それに床も石やタイルが主で体が冷える。湯たんぽを使うと体の芯が温まって、汗をかく。そうすると疲れが抜けるのだ。風邪をひいているときにも有効。ちなみに、湯たんぽの前に私は足湯もする。バケツにお湯を入れて、膝下までしっかり足を温めて、靴下を履く。その後に湯たんぽをして寝ると、より体が温まる。

●塩
食べたくないくらい疲れた時は、無理に食べない。日本でもインドネシアでも、食べないとだめと言って無理に食べさせようとするけれど、体力が回復してくれば自然にお腹がすく。無理に食べると、私はすぐに吐いてしまう。食べられるようになるまでは、薄く塩分を足した白湯やお茶(日本なら番茶、インドネシアならジャワティー)を飲む。体が自然と塩を欲する気がする。そのことを、インドネシアである人に言ったら、その人はコーヒーに少し塩を足して飲むのだと言った。それも試してみたけれど、なかなかいける。もっとも、何も食べられない状態でカフェインはきつすぎるので、ある程度食事ができるようになり、薄いコーヒーが飲めるようになってからだけど。別の人からは、炭酸水に塩を足して飲むという話も聞いた。きっと、皆、疲れると体が自然と塩を欲するのだろうな。

●炭酸水
炭酸水はインドネシアではソーダ・プティ(白いソーダ)と呼ばれていて、ファンタと同じ瓶に入っている。胃腸が悪い時には炭酸水もよく飲んでいたのだが、最初は無自覚だった。炭酸水を買いに行って、お店の人に「今日は胃腸が悪いの?」とよく聞かれ、ジャワでは炭酸水は胃腸に効くと言われていることを知った。最近は日本でもよく目にするようになったので、嬉しい。胃酸過多の人にはだめらしいが、私には効果がある。

●おかゆ
少し食べられるようになったら、薄いお粥を食べる。私は奈良の生まれなので、しんどい時には、番茶で炊いて塩を仕上げに入れた茶粥でないと食べる気がしない。ジャワでは、サラーム(コブミカン)の葉とバワン・メラ(エシャロット)の実を刻んだものを入れて炊いて、最後に塩を少し入れるお粥の作り方を教えてもらった。お腹をこわした時に良いという。試してみたところ、爽やかな香りがあり、胃もすっとする。ジャワの料理には珍しいあっさり加減だ。

●サンタンNG
サンタン(ココナツミルク)入りの食事は、しんどい時には私の胃は受け付けない。けれど、サンタンで野菜類を煮込むサユール・ロデはインドネシアでは代表的なおふくろの味で、どこの食堂にでもあるだけではなくて、病院に入院した時ですら、毎食出てきたのには閉口した。これ、インドネシア人にとっては胃にやさしい料理の内に入るんだろうか…?

●ニンニクNG
あと、私にとっては、にんにくもNGである。体調を崩してジャワの一般的な料理が食べられなくなっても、変わらずに食べられるほとんど唯一の料理がタフ・クパットだった。これは、タフ(油揚げ)、クパット(粽のようなもの)、モヤシやバワン・ゴレン(掻き揚げ)などを切って混ぜて、ソースをかけたものだが、ソースにはニンニクや唐辛子も擂って入れる。体調が悪い時には唐辛子を入れないでと注文するのだが、つい、ニンニクのことは言い忘れてしまう。ニンニクは精力剤だから、体力がない時に口にするとかなり体にこたえる。のだが、ジャワ人にはそれが分からないようなのだ。唐辛子を控えることには同意してくれるのに、にんにくを入れないでと言うと驚かれる。ソップと呼ばれる、鶏肉や野菜が入った清ましスープも、さっぱりしている点は合格なのだが、意外にニンニクがどっさり入っているので、食べられないことが多い。

●ジャムー(ジャワの漢方)
留学生にはジャムーを愛飲していた人もいたが、私はあまり飲まなかった。ジャワでは、流しのジャムー売りの女性がいて、呼び止めるとその場で調合して飲ませてくれる。生薬を売っている店でも調合してくれる。何度か飲んだけれど、私にはピンとくるものがなかった。第一、私が住んでいた地区には売りに来なかったので、いざという時に間に合わなかったという次第。

●クロック
マッサージや鍼灸はプロにやってもらうものなので割愛するとして、自分や友達同士でできるのがクロック。クロックについては、「水牛」2011年7月号でも書いたことがある。バルサム(タイガーバームのような塗り薬)などをつけて、背中の皮膚を筋に沿ってコインで擦ると、マスック・アンギン(風邪が入る)した箇所が赤くなり、そうなると風邪が抜けるというもの。乾布摩擦などのように肌を刺激するやり方で、疲労が重いと、擦ったところが真っ赤になる。これで急に高熱が下がったこともある。普通は背中くらいしかしないけれど、私は首、頭皮、髪の生え際(額とか)もする。クロックは、今ではジャワでも田舎の年寄りしかしないみたいだ。