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2004.12水牛アーカイブ「『大野一雄の宇宙と花』によせて」
私は、毎月、高橋悠治氏のサイト『水牛』の「水牛のように」コーナーにエッセイを書いていますが、この執筆は2002年11月から始まりました。同サイトにも私のエッセイのバックナンバーが、「冨岡三智アーカイブ」に掲載されています。しかし、サイトのデザイン変更もあって、今のところは大体2007年頃からの分しか移行されていません。それで、『水牛』のアーカイブに未掲載の分をこちらに掲載していくことにします。




『水牛』2004年12月号
「大野一雄の宇宙と花」によせて


11月26~28日まで「大野一雄の宇宙と花」という公演が大阪のArt Theater dBであった。26、27日は見れなかったのだが、28日には「~大野一雄氏へのオマージュ~」ということで公募で選ばれた関西アーティスト達22組から大野さんに贈るダンス短編集の公演になっていて、私も出させていただいた。というわけで今月の原稿は「~大野一雄氏へのオマージュ~言葉編」である。そう言いつつ感激が大き過ぎてまだうまく言葉にまとまっていないので、今回の原稿はとても短い。(公演が28日だったので原稿を書く時間がなかった、というのもある……。)

大野さんは今年98歳になる。来場予定とはいえ高齢だし……と思っていたら、本当に来られた。車椅子に乗っていてほとんど体も利かないというのに、静かに迫ってくる存在感は何なのだろう。舞台の後ろから、車椅子を押してもらって登場する大野さんの後ろ姿を見ているだけなのに、我ながら不思議なくらい涙が止まらなかった。

そしてオマージュのために集まってきた出演者たちの、テンデバラバラなこと。白塗り舞踏系が多いのはやはりという感じだが、ざっと見たところでもバレエなど洋舞系、パントマイム、演劇、?、それにジャワ舞踊の私と、いろいろなベースの人がいる。それが大野さんという1点で集まってきたのは不思議だ。

かく言う私が大野さんのことを知ったのはインドネシア留学中のことになる。大野さんはアート・サミット・インドネシア'95に招聘されて踊っている。「90歳を超えて現役のカリスマ舞踏家がいる」と、そのサミットを見た先生から聞かされた。その先生に私はジャワ古典舞踊を習っていたのだが、その人は古典舞踊も現代舞踊も踊る。私ももちろん大野さんの名前は知っていたけれど、その時点ではまだ実際に舞踊を見たことがなかった。

そして昨年帰国して間もなく、テレビでたまたま大野さんの特集番組を目にする。私と大野さんの関わりは本当にそれだけしかなかったのだが、今年この公演の公募のお知らせを見て、なんだか不思議にアレンジされているような気になった。たぶん今の私は大野さんから何かを吸収しないといけない、あるいは吸収できる時期がきたのだろう、という予感がしている。実際に習うわけでなくても、一緒に同じ空間にいるというだけでも得るものは大きいなあと感じたことだった。