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2018.02水牛「ジャワ舞踊の衣装(3)頭部の装飾」
高橋悠治氏のサイト『水牛』の
2018年2月」(水牛のように)コーナーに、
今月は「ジャワ舞踊の衣装(3)頭部の装飾」を寄稿しました。



ジャワ舞踊の衣装(3)頭部の装飾

前回まで上半身と下半身の衣装を説明してきたので、今回は頭部の装飾について。ジャワ舞踊では頭部の装飾には①イライラハン(髪型と冠が一体化した被り物)を被る、②鉢巻状のものや冠を頭に着ける、③結髪だけ、の3種類がある。

①イライラハンを被るのは物語のキャラクター設定がある場合、つまりはマハーバーラタなどの物語を演じるワヤン(影絵人形芝居)の人形の意匠を模倣した格好をする場合である。たとえば、女性だとスリカンディ、男性だとアルジュノなどのキャラクターの被り物を想像してほしい。それらは固い張り子で成形され、黒いビロードの布が貼られている。これは髪の毛を表しており、後頭部や頭頂部に向かってクルンと丸くなっているのは、髪をまとめ上げていることを示している。そして、頭部をぐるりと巻いている金色(またはカラフルな色)の部分がジャマン(冠)というわけである。ジャマンの部分はワヤン人形同様、水牛の皮から作られている。イライラハンはキャラクタに―よって、髪型の部分の形もジャマンの形も決まっていて、アルス(優形)であればジャマンの先は丸くなっており、ガガー(荒型)であればジャマンの先はとがっている。

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↑左:正面から見たスリカンディのイライラハン
 右:サイドから見たスリカンディのイライラハン


②は宮廷舞踊で使われる。槍や剣の鍛錬をする兵士を描いた男性舞踊(ウィレン)や女性舞踊のスリンピでは、踊り手自身の髪の毛をまとめ、布から作られた鉢巻状の物(兵士用)や王女用の冠を頭に着ける。①と違って、頭頂部は全部覆われずに空いている。このような舞踊は物語を下敷きにしていない。民間舞踊でも、ゴレッはスリンピのスタイルを模倣しているので、スリンピと似た冠を被る。なお、スリンピやゴレッの冠だが、王宮では金属製のものが使われるが、民間(芸大なども)では水牛の革製で、つまりは①のジャマンと同じである。

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↑ゴレッの冠(化粧がものすごく薄い…)

③結髪のみというのは女性舞踊にしかないが、それは男性は正装では必ず頭巾を被るからだろう。宮廷女性舞踊のブドヨではグルン・グデ(大きな髷という意味)という髪型に結う。これは宮廷女性の正式の髪型である。ただし、『ブドヨ・クタワン』だけは花嫁の髪型に結う。また、スリンピ用にはカダル・メネッという結い方をする。余談だが、これは逆立ちトカゲという意味である。ポニーテールにした毛束の先を持ち上げて顔の周りに沿わせ、櫛で留める形状がそのように見えるらしい…。実は、スリンピの衣装は2種類あり、②冠を被っても③結髪をしてもどちらでもよい。しかし、冠を被る場合は上半身はコタン(肩を覆う上着)、結髪ならコタンかムカッ(肩を露出するコルセットのような上着)と決まっている。ちなみに、民間女性舞踊ガンビョンの髪型はブドヨと同じである。これは、かつて宮廷人の集まる場に呼ばれたガンビョンの踊り子が、その髪型をするように指示されたためだと私は聞いている。

カンティル
↑グルン・グデの結髪(実は本文では言及していないが、白いジャスミンの花で飾ると、同じ髪型だがバングン・トゥラッという名前に変わる…)

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↑右の女性の髪形がカダル・メネッ。この写真はジャワで見た舞台公演のプログラム。